■間違いの始まった今日
「好きです。結婚してください」
告白は率直を極めた。
寛大にて尊大、絶大にかっこいいラッドの兄貴は首だけを俺の方に向けて、なんか世界が明日世界が終わるんだって!とか囃し立てる少年を見るかのような目で俺を見る。まるっきり狼少年になった気分だ。だが、断固として俺はその視線に対抗する。何故か?何故ならば俺は一切嘘は吐いていないからだ!
「告白の練習か? せめて女に向けて言った方がいいんじゃないか?」
兄貴は数秒置いてから、いつもの低い声で優しく俺をたしなめる。どうやら情熱が足りなかったらしい。
悲しい、とてつもなく悲しい話をしよう!兄貴はいつだって俺を慮り俺の性格かつ性質を完璧に見極めてくれる観察眼を持っているくせにわざとそういう俺の汚い部分を見ようとしない!・・・当たり前か。汚いものを見たくないのは人間の常識ですもんね。俺だってシャフトの吐いたゲロとか「超見たい!」とか思わない。だがしかし!恋心というものがいかに醜く汚れていようが一身に慕う俺の気持ちを小指の爪レベルは見てくれたって構わないはずだ!
「ラッドの兄貴とセックスしたいんです!」
思いのたけをぶつけると兄貴はガン!と頭を壁にぶつけた。滅茶苦茶痛そうな音がしたから、俺も慌てる。額から血を流す兄貴はワイルドでかっこいいと思うけれども、兄貴が傷つく所はあまり見たくない。パラドックス。お、なんか今の哲学者っぽくて格好いい。だが哲学者っていうのは大抵インテリぶったよく分からんことばっかり言う連中だ。なんか話を聞いていると心が揺り動かされるような気分になるけど、きっとそれには詩人のような言葉使いが関係してると思う。パラドックス。・・・これは使い方が違うか。
「大丈夫ですか?」
「お前の頭が大丈夫か?」
見事な切り替えしだ。だけど俺の頭は今の所正常な筈だ。朝見た鏡に映っていた俺に部品が欠けているところは見受けられない。多分完璧。新品ではないけどまだ動く。それにしても頭をぶつけた御身よりも他人を気遣う兄貴の心意気に惚れた。さっすがラッドの兄貴!舎弟にも注がれる惜しみない愛に俺の心は感激ではちきれそうです。
ルッソ邸にあるラッドの兄貴の私室のソファはベッドより質がいい。豪奢なわけではないけれど、兄貴が自分で選んだものらしく、ラッドの兄貴の部屋に遊びに来た日とかは俺はそこで寝る。今は兄貴が壁にぶつけた頭を摩りながら、どさりとソファに座り込んだ。俺はそそくさと付いてまわって、兄貴の正面に立つ。
「お前、ホモだったのか・・・」
神妙な顔つきをして、兄貴が唸るように言った。別にホモって言うわけではないと思う。女の人は好きだ。曲線美とかよくシャフトと語る。でもシャフトとか、舎弟とかには欲情したことは、今の所一度も無い。兄貴だけだ。一回兄貴で抜いたことだってある。何をって?そういう野暮なことは聞いちゃ駄目だぞ。
「そうなんですかね?チンコ勃つのは兄貴に対してだけなんですけど。兄貴がホモっていうなら俺、多分ホモなんでしょう。俺はホモです!」
「ホモホモ言うな!っていうか・・・」
兄貴は一度胸を張って答える俺に怒鳴って、すぐに俯いた。ぶつぶつとチンコ勃つとか・・・マジかよ・・・と絶望するような声が聞こえてきた。世の中には結構そういう輩がいるもんだと思っていたから、兄貴は大して俺が兄貴のこと好きだって知っても驚かないと思ってたけど、やっぱり身内とそうでないのとは色々違うかもしれない、と思った。俺も兄貴が好きだけど、シャフトが「俺・・・彼氏ができたんです」とか言って美少年抱いて出てきたら流石に俺も引くかもしれないと思った。あ、俺今兄貴に引かれてるのか。
突然、兄貴に嫌われたらどうしよう、という不安がむくむくと頭を上げてきた。兄貴に今から「お前とは縁切るわ」って言われて部屋を蹴り出されたら、絶望してルッソ邸の前の木で首を括るかもしれない。もしくは頭おかしくなって力ずくで兄貴を抱くか?それもいい。死ぬ前に良い思い出ができそうだと思った。
俺がぐるぐる考えていると、兄貴がいつの間にか顔を上げていた。金色の髪の隙間から、冷たい流氷のような青い目が俺を見上げている。ぞわっ、と鳥肌が立って、口がにやにやと笑えて来る。恥ずかしいのかもしれない。それでも俺の息子はなんか反応し始めていた。兄貴に見られるだけで、俺、こんなんなっちゃうんですよ。青いツナギの中でチンコが勃起している。
それに気づいて、兄貴は一度眉間に皺を寄せて、こめかみを自分の手で一度揉んだ。困っている時の動作。何もかもエロく見える。
「俺が好きなんだな?」
「好きです。大好きです。愛してます」
兄貴は呆れた顔で俺を見た。一度思案するように俺から目を離して、ソファの背凭れに身を凭れかけさせて、足を組む。黒い革靴を見ていたら、もうここで自慰させてもらっても構わないと思った。兄貴の革靴を俺の精液で汚してみたいと思った。踏まれたって構わない。兄貴、凄い迷惑そうな顔、するんだろうな。兄貴に精液ぶっかけたい。凄い嫌そうな顔して、ぐらはむ、って名前呼ばれたら、それだけで達せそうだ。
「おい」
「はい?」
ぐい、と突然胸倉を捕まれて、兄貴に引き寄せられる。バランスを崩してその場にしゃがみこむと、兄貴が足を開いた。その間に、身を割り込ませる形になる。顔のすぐ目の前に兄貴の股間があった。
「当たり前だが、俺は男との経験なんてねぇからな」
「あったら驚きですよ・・・っ!」
兄貴の黒いスラックスの向こうに兄貴の肉棒があると想像しただけで凄いエロティシズムを感じた。兄貴が着替えをするところに居合わせたことがあったけれど、広い背中と胸板以外は見たことが無い。神秘の空間ってわけだ。俺がたまらず目の前の股間に顔を擦り付けると、「馬鹿か!」と頭を殴られた。歯ががちん、と音を立てて噛みあわされる。痛い。
「はっ・・・がっついてんじゃねぇよ、変態」
だってこのノリだったら確実にフェラでもさせてもらえるのかと思ったんですけど。多分言ったらまた殴られると思って黙る。上目遣いで見上げると、兄貴は顔を赤くして、それでも不敵に笑って見せた。なんだそれ。えろい。
「・・・お前だって経験ないだろ?」
「はぁ」
確かに、ない。兄貴以外の男に興味はないし。でもやり方は知っている。伊達に不良してるわけではないのだ。この国の汚い部分は大抵齧っている。
兄貴は、にやっ、と普段の肉食獣のような笑みを浮かべると、「グラハム」と低い声で俺を呼んだ。あ、今のでイける。そんな俺の思いも知らぬまま、兄貴は無骨な手で俺の頭を撫でた。
「一回俺をイかせれたら、ヤらしてやってもいいぜ」
何ですかその天国。
「お前がマジで他人のチンコ見ても萎えなかったら、だけどな」
察するに、兄貴はどうやら俺のこの感情が愛とかそういうのじゃないと踏んでいるらしい。甘い。甘すぎます。優しいにも程がある。俺は自分の鼻息が荒くなるのを感じながら、えへ、と笑った。我ながら気持ち悪い笑い方だ。右手で兄貴のスラックスのチャックを撫でると、その布の裏側にある兄貴の性器の形が分かる。にへら、と笑いながら、俺は笑顔で「約束ですよ」と言った。兄貴の笑顔が、一瞬、引き攣る。
とりあえず約束を撤回される前に、さっさとやってしまおうと思った。兄貴の息子が見たい。ベルトを抜いてファスナーを下げると、濃い藍色のトランクスが見えた。結構庶民派だった。
「腰、上げてください」
「っ・・・」
約束してしまったからか、兄貴は一瞬戸惑ったけれど、さすがといったところか、素直に腰を上げた。スラックスとトランクスを引っ張って太腿まで下げると、兄貴の息子とご対面である。はじめましてって頭を下げようとすると容赦ないパンチが襲ってきた。兄貴が顔を真っ赤にしている。恥ずかしかったのか。
兄貴の髪の色よりも少し色が濃い陰毛をこしょこしょと擽ると、ぎくりと兄貴の腰が固まる。なんかもう何もかもが愛しい。身を寄せて兄貴の反応の無い性器にふっと息を吹きかけると、ぴくりと震えた。俺にこんな挑発するのだから、もしかして勃起しない病気か何かと思ってしまった。体格に似合った大きさである。男としては尊敬する感じだろうか。膨張したら大きくなると考えると、立派だなぁと思った。俺の手で育てられる兄貴の息子・・・なんだそれ燃えるじゃないか。
「にやにやすんなっ・・・!」
ぐいっと髪の毛が引っ張られる。兄貴に触れてるのににやにやするのを止められるわけがない!とりあえず笑ってしまう口を何とかしようと思って、ぱくりと兄貴の息子を銜えこんでみた。もうちょっと大事に扱いたかったんだが、このままだと兄貴に毛を毟り取られそうだと思ったので。
ひ、と引き攣った声が上がった。聞いたことも無い兄貴の弱弱しい声に俺の息子の方が限界そうである。でもまだ我慢だ。頑張れ俺!早漏は笑われるぞ!
とりあえず俺は兄貴の性器を丹念に舐った。夢にまでみた兄貴の息子である。先から根元まで丁寧に舌を這わせた。もうぶっちゃけむしゃぶりつくというのはこういうことを言うんだなーと思ってしまうレベルで。少しずつ勃起していくのも嬉しい。ここ気持ちいいんですね!ともう裏筋からどこまでも俺の唾液でべとべとだ。ほぼ完璧に勃起しはじめたぐらいから、先走りの液がぶつりと鈴口に溢れた。一滴も逃すまいとその先に吸い付くと、口に手を当てて声を抑えていた兄貴がひう、と高い声を上げた。
「うぅ、ぁあ゛、ぐらはむ、ぐら、はむ、す、吸うな・・・っ、あ!」
超かわいい!顔を盗み見れば、目はとろんと潤みきって、口から唾液が零れている。ちらりと覗く赤い舌だとか、犬歯の発達してる白い歯だとかがまぶしい。いつか俺もフェラしてもらいたいと思った。
じゅう、と先走りも出ていないそこから、もっと精液を強請るように吸い付けば、ひぃ、とかやぁ、とか兄貴らしからぬ悲鳴が上がる。いい。凄くいい!
「兄貴、あにき、ね、気持ちいいですか?」
「はっ、ぁ、う、ぅ・・・ん、やめ、も、やめ、ろ・・・っは!」
ひくひくと兄貴の腹筋が痙攣している。そろそろイくらしい。鈴口に少し歯を立てると、一度体が弓なりに反った。そしてびくっ、と大きく跳ねる。
「あっ、だめだ、から、ぐら、や、はな・・・っ」
毛が抜けると思うぐらい頭が引っ張られる。それよりも早く強く兄貴の性器を吸うと、びくびくと兄貴の腰が震えた。そう、思ったらびゅるびゅると兄貴の性器の先端から精液が飛び出てくる。溜まってたのか結構多いし濃い。飲み物でも飲むかのように急いで飲んでも、口の端から零れてぽたぽたと床に落ちてしまった。あ、ぁう、と小さく嗚咽を洩らして呆然とする兄貴の顔を堪能してから、床に這い蹲って落ちた精液を舐める。絨毯だったけれど、染みることはなく、小さい水滴の粒になってぽつと浮かんでいた。
「えへ、ごちそうさまです」
床まで舐めた俺をなんか変なものでも見る目で見て、兄貴は声をなくしていた。さすがに俺が病気だということに気づいたらしい。恋の病って怖いんですよ。にへら、と笑う俺は舎弟に難なくイかされてしまって呆然とする兄貴の肩を掴んでソファに横にさせて、太腿にひっかかっていたスラックスを、靴を脱がせて全部足から引きぬかせた。黒い靴下だけしか下半身に身に着けていない兄貴は物凄く扇情的だ。マニアックと言われたって構わない。
俺はポケットに入れておいているローションを取り出し、「約束は約束ですから」とできるだけかっこよく言ってみた。口はずっと笑いっぱなしだけど。ちなみに俺のチンコはずっと勃ちっぱなしだ。情けない話だけれど、兄貴の性器を見た時に一度達してしまった。でももう勃起している。若いって凄いですね!兄貴!
兄貴はようやく我に返って、「ば、おま、そんな、」と言葉になりきってない声を上げた。可愛い。
「兄貴、俺、頑張りますから」
可愛い子供を産んでくださいね!俺ががしっと兄貴の手を掴むと、兄貴は顔を真っ青にした。赤くしたり青くしたり、忙しい。既に兄貴の両足の間に座っていたので、太腿を掴んで肩に持ち上げると、兄貴の性器と後ろ孔がよく見えた。長い道のりだったなーと俺が思い出していると、兄貴はようやく自分の危機に気づいたのかちょ、ちょっと待て!ちょっと待て!と叫んだ。
「待てません!」
いくらなんでも今は兄貴のお願いを聞けない。硬く窄まった孔をぐにぐにと突付いて、さくさくと行為を進める。ローションを指にかけて、残りを全て性器と後ろ孔にぶっかける。冷たさに一度身を竦ませたのをいいことに、素早く兄貴の孔に一本指を入れた。
「っいっ・・・!」
痛みは無いはずだけれど、やっぱり異物感が気持ち悪いのか、兄貴はこの状況に物凄く混乱しているらしい。きもちわりぃ、と嫌そうな声が上がった。中で回転させるように動かすと、いやいやと兄貴が首を振った。前立腺がどこだか分からない。ちょっと待ってくださいね、とお願いして、指を2本に増やしてみた。
「ぃ、ァっ!?ちょ、ま、ぁ、あ、あ!」
突然びくりと兄貴が体を跳ねさせた。中指の先端が何かぷくりと出ているものに触れている。くりくりとそれを押すと、あ、あ、と切なそうな声が断続的に上がった。これが前立腺かー、となんか人類の神秘を見つけた気がする。いつの間にか兄貴の息子もまた反り返っていて、今度はお腹にくっつきそうなぐらいになっていた。それにしても兄貴の中、すっごく気持ちいい・・・。女の中がどうなってるか知らないけど、凄く狭くて、濡れてて、きゅうきゅう指を締め付けてくる。早くはいりたいなーと思った。
「今何本か分かります?次、三本いきますよ」
「や、やめ、ぐらはむ、う、おねが、も、やめ、っひ、ぃ!」
兄貴の性器から零れる我慢汁がとろとろと兄貴のスーツを汚している。あーいいな、エロイ。やっぱり夢とか想像よりも本物がいいなー。三本の指をばらばらに動かして、孔を広げるように揉み解すと、もう兄貴の口からはひぐっとか引き攣った声ばっかり出るようになっていた。ぽろぽろと兄貴の目から涙が零れて、こめかみを伝ってソファに落ちている。
「兄貴、中入れますから」
ふるふると兄貴の首が弱く横に振られた。子供みたいな仕草が愛しい。えへへ、と笑い声が零れた。兄貴の中に精液一杯入れたら、俺達の子供、産まれないかな。でも女じゃないと産まれないんだよなー。それが、少し寂しい。兄貴のお腹が膨れたら、凄くエロイと思うんだけど。その中から産まれた子供に自分の遺伝子が入ってると思うと、それだけで達せそうだ。兄貴の中から俺が産まれる?何だそれ。この世の天国だろうか。
指を引き抜くと兄貴の孔はもう何かを欲するようにぱくぱくと収縮を繰り返している。俺の勃起したチンコの先端をそれに宛がうと、鈴口をきゅうきゅうと締め付けてくる。ゆっくりと入れると、やだぁ、と引き攣った悲鳴が上がった。
兄貴の腰を掴んで引き寄せると、ずぶずぶと中に性器が入っていく。熱くて蕩けそうだ。今すぐにでもイッてしまいそう。でも少し我慢。もうちょっと堪能したい。
「ぐらはむ、やだ、ぁ、や、ぐらは、む、でか、はら、いっぱ、ぁ、くるし・・・っ」
「あにき、お腹の中に俺入ってるんですよ?ほら、ここですかね?」
「やだっ、!やめっ、はら、にゃ、おすな、ぁ!ひっうう゛ーっ、あ、ぁ!」
兄貴のお腹をぐいっと押すと、腸壁がぎゅう、と俺の性器を締め付ける。ふにゃふにゃと上がる声がいやらしくてたまらない。あ、もう駄目だ、と思った瞬間、もう精液が出てしまった。だってあの兄貴がおなかいっぱいとかくるしいとか凄くエロイ。元気な若者の俺にとって一分とかなんて一生に感じられるレベルだ。兄貴の中に俺の精液が出てるってだけでまだまだ出そう。
「あつ、や、ぐらはむ、のせーえき、はらのなかでて、や、やだ、ぬけ、ぬいて、ぇ!」
「兄貴おんなのこみたい」
くすくす笑うと、兄貴がぼろぼろ泣いた。本当に女の子みたいだ。女の子がどんなんか分からんけど。これなら子供ができても仕方ないと思う。兄貴の両手が俺の肩を掴んで引き離そうとするけれど、がくがく震えてて禄に力が入っていない。たっぷり精液を流し込んでから俺の息子を兄貴の中から引き抜けば、どろどろした白い液体が蓋をしていた俺の性器が出たとたんに溢れ出てきた。よくある女を廻した後みたいな状況。ぱくぱくとまだ開いたり閉じたりを繰り返す兄貴の孔を突付くと、すぐ指がどろどろになった。
「兄貴に孕ませたいな」
はー、はー、と荒い息を吐く兄貴の頬にキスをすると、兄貴はとろりと濡れた目で俺を見た。その目に映る俺は一体貴方にとって、今は何?強姦した鬼畜?まだ間抜けな舎弟?どちらにせよ今までどおりではいかないはず。
俺が特別になったでしょ?それだけで俺は胸が空くような気持ちだった。今日はなんて素敵な記念日!
2009/5・6