■密室の中で閉じ込められた夜のスピード



 がたたっ、と間抜けな音を立てて、サードがついていた手がぶつかった、部屋の中にあった唯一の棚が横にひっくり返った。上に乗っていた時計が、大きな音を立てながら吹っ飛んで、壁に一度ぶつかって墜落する。そのサードといえば、倒れた棚にも、時計にも目をやることを忘れて、顔を真っ赤にしてフォースを凝視する。見開かれた眼球の、碧色の瞳が小さく収縮していて、瞬きさえしなかった。
 「なっ・・・何だっ・・・て?」
 「今、ココで、すっか?」
 先ほど言った台詞を、短く区切りながら言うと、少しの間沈黙が走った。その間、あまりにも場違いなほど明るい声が、すぐ隣の壁の向こうから聞こえてくる。悟飯と、ビーデルと、チチ、悟空達の声だ。テレビでも見ているのか、少し途切れがちに、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
 「・・・はっ、馬鹿じゃねぇのか?場所と状況を考えろよ」
 「・・・もしかしてそれはノーってことか?」
 「もしかしてもなんもねぇよ!ノーに決まって・・・・、っ!?」
 突然、サードの胸板た下腹部に見えない手のようなものが這わされた触感がした。サードは目を見張りながら、数メートル離れた場所で冷たく自分を眺める不躾なフォースの顔を見る。満月のような金色をした眼球が、ぴたりとサードを見て離れない。サードは呻き、即座に気づいた。この手は、フォースが視神経を繋いで自分の脳に直接見せる幻覚のようなものだ、と。しかし、脳に直接送られる幻覚は、そのまま本物と言っても過言では無い程リアルだ。目に見えない指先が、掌が、ざわざわとサードの体を嬲る。
 サードは、壁に背をつけて、ずるずるとその場に座り込んでしまいそうになるのを必死で堪えた。掌にはじっとりと汗をかいている。
 「ひっ・・・ひきょう、だ、ぁ・・・いっ、あ゛・・・」
 唸るように零れた声は緊張で震えていた。しかし、そんな冷たく突き放そうとしようとしても、引き攣る声は確実に熱を帯びている。フォースは一度笑って、次第に苦しそうに呼吸を乱すサードを少し見た。歯を食いしばり、ついにフォースの視線から逃れるように顔を背ける。眉間に皺が寄せられて、何かに耐えるように瞼がきつく閉じられる。ついに限界が来て、サードの足が力を無くしてその場にどさりと崩れ落ちる。両手だけで体を支えようとしたのか、壁についた手から、がりがりと爪をひっかける音がした。
 「っぐ・・・・・ぅっ、う・・・」
 山吹色の胴着を握り締めて、サードの体が曲がり、床の上に蹲るように縮められる。逆立った髪の毛が無惨にもばらばらと床に広がった。
 「ふぉ・・・たのむから、やめ・・・ぇっ・・・・ひっ」
 びくびくと痙攣を繰り返し、サードが懇願する。そこでようやくサードの下肢を這い回らせていた意識をぷつりと切ると、ぎくりとサードが体を強張らせる。頬と耳を赤く染めて、ぐっと声を押し殺し、電流のように体に走る快感を我慢している。まったく健気で可愛らしいものだと、フォースは口を歪ませる。蹲るサードの頭の近くまで歩み寄り、その体を見下ろせば、体に掛かった影に気づいてか、ゆっくりとサードが頭を上げた。頭に昇る熱のせいで瞳は潤み、食い縛っていた口は、突然開かれたせいで唾液が零れて、床に小さな染みを作っている。
 頭の近くにしゃがみこむと、サードは震える声で、フォース、と名を呼んだ。フォースは返事の代わりに赤くなった耳の裏をこりこりと指先で掻いた。びくりとサードの体が撥ねる。とろりと滲んだ碧色の目がゆらゆらとフォースと空中を交互に見やり、ぱくぱくと金魚のように口が数度開閉を繰り返す。ようやく、震える声が、屈辱に染まりながら小さく吐かれた。
 「部屋、戻って・・・ここは、いやだ・・・!隣に、聞こえたらどうすんだよぉっ・・・!」
 「ここでする」
 突き放すように答えると、フォース、と悲鳴のような声が上がった。フォースはなるだけ優しく微笑んで、顔を引き攣らせたサードの頬を指先で嬲った。首を通り鎖骨まで指を這わせ、サードが顔を蒼くして泣き喚きそうな顔をする瞬間をじっくり眺め、唇をゆがめたまま言った。
 「お前が、隣に息子や妻がいるのに俺に犯されてめちゃくちゃに悦がるような変態だって教えてやるよ。人がいると興奮するような変態だって泣き叫んで、俺に尻穴ほじってくださいって、穴振って懇願するまでさ」
 静かに吐き捨てられた言葉が一瞬理解できず、サードは目を見開き、目の前の己とそっくりの顔をした男を凝視する。嘘をいうような目ではない。ぞっと背筋を冷たい何かが這い上がった。がくがくと威圧感で体が震える。
 「う・・・そだろ・・・?な・・・・やだ、嫌だ、ぁ、ぁあ!フォー、ゆるしっ・・・・!」
 ぺろりと唇を舐めながら、フォースは惨忍に笑う。その艶やかな笑みを見ながら、サードは再び歯を食いしばる。最低だ、と脳裏で詰れば、それでも愛してくれるだろう?と目の前の男は口に出さずに囁いた。眩暈がする。瞑られたサードの瞼から、ぽたりと水滴が墜落した。





 あははは、と数人の笑い声が重なる声が、壁を介して耳に届いて、サードの頬はかっと熱をもった。燃えるような羞恥が身を焦がす。藍色のタンクトップは汗を吸ってあちこちを深い紺色に変色していた。脱がされた山吹色の胴着を握り締め、声を殺すために必死にそれを口に銜えた。
 「あいつら、何見てんだろうな」
 爪の先でサードの肛門の皺をなぞりながらフォースは呟く。改めてすぐ隣の部屋に家族が揃っていることをありありと認識して、サードがぎくりと体をしならせた。どっと緊張の汗が吹き出る。今何か、誰かが自分達の会話を聞いていたら。それを不審に思って部屋に入ってきたら。
 そう思っただけで全身の研ぎ澄まされた神経が部屋のあちこちに向けられた。戦闘に特化されたサイヤ人の性質のせいで、勝手に体が危機を察知し、肉体の全てが一つのセンサーになる。
 「楽しそうだよな、なぁサード」
 「ひっ、くぅっ・・・っ!」
 喉が引き攣った声を洩らしたが、その外の声は自分の服を噛み締めることによって耐えた。太腿をついっと指先で撫でられ、びくりと大きく体が跳ねた。フォースはうつ伏せになったサードの尻だけを高く上げさせ、両側に開かせた。その間に胡坐をかいて座り、サードの足が閉じられないようにする。下半身に纏わりつく胴着は足首まで下げさせ、今はサードの右足に片足を引っ掛けただけで申し訳なくくっついているだけだ。
 過度に敏感になったサードの肌をゆっくりと撫でながら、フォースは喉奥を鳴らした。サードの長い髪は今は右側にたらしているので、むき出しになったうなじがそっと赤く染まっているのが見えた。肩甲骨が浮き出て、緊張で縮んでいる筋肉が滑らかな曲線を描いて背中を彩っていた。たくし上げたタンクトップから覗くそれらが自分を誘っているようで、堪えきれずに身を起こし、その尾てい骨にキスをした。
 「くっ、ふぅ、ぅ・・・・」
 サードは少し顔を傾け、肩越しにフォースを潤んだ目で数度盗み見た。フォースはすぐに身を起こし、手始めにサードの肛門の両側に親指を添えて、ぐにっ、とその穴を広げた。思わず上げそうになった悲鳴は、寸でのところで服を噛み締め押し殺す。排出器官であるそこは無理に広げられたのに対抗するために、ゴムのように収縮しようとする。柔らかそうな肉ひだを指でなぞれば、サードの背は何度も痙攣した。
 「うっ・・・うぅ、ん、ぐっ・・・!」
 ふっ、とフォースがサードの肛門の中に息を吹きかけると、ぴりぴりと痛みのような感覚が足に奔った。思わず足が震える。そのまま肛門に吸い付かれ、ちゅう、と音を立ててそこを吸われた。声にならない叫びがサードの喉で暴れまわる。足を閉じようとしても、フォースの体を挟んでいるので閉じられない。逃げることができない。
 フォースの指と舌が、肉ひだを丁寧にほぐしていく。すでに立ち上がった性器からは先走りが溢れ、ぽたぽたとその真下にあるフォースの足を汚した。
 「サード、腰揺れてるぞ」
 「うっ、や、ぁ、もう、いや、だ、ぁあ・・・っぐ」
 次第に、サードの腹部がひくついてきていた。自分でも信じられないように、直腸のがきゅうきゅうと何かを欲している。それに気づきたくなくて、サードは目を瞑り屈辱に耐えた。こんな、女のように、いつからなったのか!すでに硬くなっている乳首が床に擦れただけでじわりと身悶えそうな快楽が奔る。噛み締めた胴着は涎を含んで重くなっていた。
 「ふぅ、んぐぅ、う、ぅっ」
 「俺の足、お前の精液でべとべとになってんだけど」
 「っぁ、っごめ、ごめん、んっ」
 はぁはぁとサードの荒い息が木霊する。壁の向こうから聞こえてくるくすくすという笑い声が、自分を嘲笑っているように聞こえて、サードは更に顔を赤くした。その上、我慢も限界だ。達してしまいたい。勃起した性器は溜まった精液を吐き出したくて痛いほどだった。胴着を握り締める手をそろそろと自分の性器に伸ばそうとすると、それに気づいたフォースの手がそれを床に縫いとめる。
 「あっぁあ・・・」
 「なんだよ、連れないな。サード、自分のペニスごしごし擦りてぇんだ?」
 「いっ言うな、ぁあ゛、はっ」
 ぶるぶるとサードが頭を振った。零れた涙が胴着をどんどん濡らしていく。相方の惨めな姿に喉を鳴らして、フォースはにやにやと笑う。
 「自分で自分のチンコ擦って、皮ずる剥けにしてイきたいんだろ?カリに爪たてて苛めて、睾丸を揉みしごいて、サードは痛いぐらいのが好きだもんな」
 「やだ、いやだぁぁあ!放し、離せっ」
 嘲笑するように囁かれる言葉でフォースから受けた行為を思い出し、サードは身を捩る。足が震えて、いやらしい言葉で嘲笑われることにさえ反応してしまう自分の体が嫌で仕方がなかった。
 「そんで、肉ひだをさっきみたいに丁寧に嬲られて舐られて、俺の指で奥までほじられて、俺のチンコ最後にぐっぽり食べながら、尻の穴で精液飲み干すのが好きなんだよな?サードは」
 「ちがっちがうっちがうっ、ぅう゛ぁ、あ、やだ、もうやだぁ、あぁ!」
 「嘘吐きだな」
 フォースは笑いながら身を起こした。床に縫いとめていたサードの手を開放し、再び床に腰を下ろす。
 「じゃあ、さっきやろうとしてたことやって見せろよ。見ててやるから」
 「っ・・・・・!!」
 びく、とサードの手が震える。先走りの液はだらだらと零れ、既にフォースの足から垂れ、床までぐっしょりと濡らしている。先ほど詰られた言葉を反芻して、サードの手は止まった。
 「で・・・・きなっ・・・・っ」
 「なんで」
 「うっ、ぅう゛ーっ、ふぉ、すの、ばか、やろっ・・・!」
 かちかちと歯を鳴らしながら悪態を吐くサードを鮮やかに一笑し、フォースは再びぴくぴくと震える肛門に指を伸ばした。ひぐっ、と泣くような悲鳴を上げるサードの声を聞くだけで、フォースの体をぞくぞくとした心地よさが駆け巡る。口がにやけるのが止められない。
 「ほら、サード、俺に強請ってみせろよ」
 「ぁ・・・?っは・・・・わかんな・・・」
 「自分で尻の穴広げてみせろよ。そしたら、俺のいやらしい変態な尻の穴にフォースのチンコ突っ込んで、ぐちゃぐちゃにかきまわしてくださいって言ってみせろ」
 フォースが低い声で命令すると、サードの背が震えた。驚愕で満ちた顔で一度フォースの顔を少し伺い、その目が相変わらず冷徹な色をしているのを確認し、数秒躊躇い、そしてゆっくりと、床に爪をたてていた両手を自分の背中へと回した。そのままするすると汗でしっとりと濡れた肌を伝わせ、自分の臀部へと指を這わす。フォースがじっとして見守る中、震える指先がゆっくりと肛門を広げた。そしてか細い、引き攣った声が漏れる。
 「っ・・・・・・くっ」
 「・・・ほら」
 吐息が熱い。ぺたぺたとせがむ様に臀部を叩くと、びくっとサードの体が跳ねた。
 「お・・・俺の、いっ、いやらしい、へんたいの・・・っしっ、しりの、あなに、・・・・・ふぉーすの、っちんこ突っ込んでぐちゃぐちゃのめちゃくちゃに掻きまわして、精液いっぱいそそいで、ください」
 「はっはは!いい子だな、サード」
 「うっ、ぅう、っは、ぁ゛・・・・ぁあっ!」
 羞恥と屈辱で顔を真っ赤にし、唇を噛み締めるサードを嘲笑いながら、フォースは取り出した自分の性器をぐちりと音を立てさせながらサードの肛門に押し当てた。赤く充血した海綿体が一度肉ひだを押し広げる。
 「ひっ、ぎ、ぁあっ、やぁ、ぁあ゛・・・っ!」
 「っく・・・ん・・・」
 むりむりとフォースが腰を推し進めるとぽたぽたと唾液を零しながらサードの悲鳴が上がる。待ち望んだ肉を喜んで喰らおうとするようにサードの肉壁がぎゅうぎゅうとフォースを締め付けた。
 「ン゛っあっ、ぁあ、ひっぅ、ひぁ、ァっ」
 「ほら、サード、全部入っちまったぞ?」
 くすくす笑いながら結合部をなぞれば、ぐぷりと泡を吐き出した。びくびくと腰が震え、サードが呻き声に混ぜて小さく嬌声を上げた。とろりととろけた瞳が喜色で濡れている。
 「あっ・・・ふぉーす、ふぉーす、ぅ」
 「サード、かわい・・・」
 くすくすと笑うと、サードは聞こえていないのかうっとりと目を細めて、顔をすぐ傍まで寄せたフォースの唇にむしゃぶりついた。体を捻り、辛い体勢だろうに、歯もぶつけあう勢いで二人は舌を絡めあう。キスをしながら、フォースはようやく腰を動かし始めた。ゆっくりと性器を引きぬき、次の瞬間には一気に押し入れる。んん゛ーっ、と重ねた口の中でサードがくぐもった嬌声を上げた。
 「気持ちいいんだな?これ・・・」
 「んっんぶっ、ふぁ、ぁっ・・・ふぉー、いれて、だして、ぇっ!」
 隣から聞こえてくる音に注意しながら、フォースは意識を持ってかれないように必死だった。サードは普段の見る影も無い程に乱れ、自分でも気が付いていないのか自ら腰を振りフォースにあさましく強請る。ぐちゅぐちゅと水音が室内に溢れ、フォースは自らが招いたこととはいえそのいやらしさに頭がくらくらしはじめていた。
 「くっ・・・サード、一回出すぞ・・・?」
 「んっんっ、フォースのせーえきおれのおなかにいっぱい、だしてっ、ひっぃっ、ひぐっ」
 がぶりとサードの首にかぶりつきながら、フォースはサードの腸壁に精液を流しいれた。どぷりと熱いザーメンが入った瞬間、サードの体がびくびくと痙攣した。同時に達したらしく、サードの勃起した性器からもびゅくびゅくと白濁した液が迸り、床を濡らした。
 「あっ、ぁ、っは、ぅ・・・・」
 途端、再びサードの体が震えた。強く背中をしならせると、あっ、あっ、と小さな悲鳴が上がる。
 「あっ・・・だめだ、ぁ、いやだ、ふぉーす、はなっ、はなして、くれ、ぇ・・・っ!」
 「んっ・・・?どうした?」
 体を押しのけようとする手首を掴み、サードが身を震わせながら悶絶する姿を見た。サードはびくびくと震えながら、小さく頭を振り、蚊の鳴く様な小さな声で何かを呟いた。
 「なんだ?」
 「っぁ・・・・あっ、しょ、小便、でそ・・・うなんだ、ぁ・・・!」
 だから、便所いかして、とサードは懇願する。己の相方の痴態を見やり、フォースは驚きながらも自分が再び興奮するのに気づいた。身悶えながらなんとかフォースから逃れようとするサードを見下ろし、ふと、先ほどまでサードが噛み締めていた彼の着ていた胴着を見た。
 「・・・ここでしてみせろよ」
 「っ―――――――っざけんな、ぁあ!?」
 驚きと憤怒で声を荒げたサードの口を、フォースが塞ぐ。突然静かになった部屋に、隣から聞こえてくる家族団らんの声が響いた。今にも泣きそうな顔で首を振るサードを笑いながら見下し、フォースはその体を力ずくで起こした。サードの口の中には自分の指を入れ、噛み付いて声を殺してもいい、と囁いてやる。空いた手で、サードの胴着を引き摺り、すぐ近くに設置する。足りないか、と思って、サードの着ていたタンクトップも素早く脱がし、胴着と一緒に丸めて置いた。
 サードの中に入れたままにしていたフォースの性器は再び熱を取り戻している。胡坐をかいて座るフォースの上に座るポーズで、サードは恥辱で顔を赤く染めた。丁度座るその真正面に、彼らのいる部屋の唯一の扉がある。何か異変に気づいて、隣から誰かが入ってきた瞬間、サードが両足を大きく開いて小水を出そうとする所を見られてしまうのだ。
 「ほら、やれよ」
 「ふっううっう゛ーっ」
 サードはこれだけは嫌だと、許してくれと、フォースに泣いて頼もうとした。その次の瞬間、サードの口の中に入れられていない、フォースの空いた手が、硬く勃ったサードの乳首を指先で抓った。そして、再び立ち上がった性器をもって、ゆさゆさとサードを揺らす。性感帯を一気に攻められ、思わずフォースの指を噛んだが、それだけでは我慢できず、ついにサードの性器から微かに小水が漏れた。
 「っふ、ぅっん゛ーっ、ぅふ、ふぁ」
 小水を我慢するために力を入れていた下腹部が痙攣し、悲鳴を上げる暇もなく、しゃぁっ、と失禁をしてしまった。弧を描いて、吐き出された小水はフォースが置いておいたサードの胴着やタンクトップをどんどんと濡らしていく。濃い橙や紺色に変わる様を、フォースはにやにやと見ていた。小水が終わると同時に、耐え切れずぼろぼろと涙を零し、子供のように泣きじゃくるサードを抱きしめ、フォースはべろりとサードの頬を伝う涙を舐める。
 尿や精液の匂いで塗れた部屋の中で、もう一度サードの体が床に横たえられ、フォースがそれに覆いかぶさる。非道すぎる行いを繰り返す獣染みた男から与えられる口付けを受けながら、サードは必死に声を殺した。なにがなんでも、壁の向こうの平穏は守りたかった。次第に熱くなる自分の惨めな息を憎みながら、丹念に自分を求める男の背に腕を回し、サードは唇を噛み締めた。好きだと呟くフォースの言葉の意味も、深く考えたくなくて。
反省はしている。
2009/4・29


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