■柔らかな声なんて所詮只の人を騙す道具にしか使えないだろうに
 とある丘の上にとっても質素な、しかしとても清潔感のあるお屋敷がありました。
 そこの家には有名企業の御曹司でカッコいいご主人様が、必要最低限のメイドと一人の変な執事と共に暮らしていました。
 その執事は昔ご主人様と友人だったのですが、ご主人様に何か借りが出来たといきなり何もやっていないのに言い出して、いきなり執事という名目でご主人様のお屋敷に住み着き始めたのでした。
 本気で来ないでくださいと泣きつく寸前ぐらい嫌がったのに、執事は笑顔のまま嬉々としてご主人様の身の回りの世話をするようになったのです。
 着替えをしようとすると毎回のように手伝いましょうとやってくるし、風呂に入るときもお背中流しましょうとやってくるし、トイレに行くときも手伝いましょうと(何を手伝うのでしょうね)やってきます。その後ご主人様が部屋中を探索すると大量の隠しカメラが発見されました。
 ご主人様は本当にこの男は何をしに来てるんだと苛々する毎日です。
 偶に階下に下りるとメイドにちょっかいを出しているところも見かけるので、もしかしたらメイドに誰か好きな奴でも居るのかと思いますが、それならば何故部屋中に隠しカメラなんぞを設置するのか謎で謎で仕方がありません。
 何度か犯されている身ですが、その執事は女好きだと思っているので、ご主人様はいまいち状況が理解できていないのでした。
 さてどうするかなぁとぼんやり窓の外を飛んでいる鳥を見つめていると、いきなり扉が開きました。
 ぎょっとして振り向くと、噂の変な執事が何を思ったかメイド服でどーんと立っていました。こりゃヤバイ。
 「うふふふふご主人様今日のおやつは新鮮なバナナですよーミルクかけていただきましょう!」
 「はぁ!?」
 あわてて立ち上がり背中を見せないように向かい合います。バナナって・・・。
 執事は手ぶらでした。
 しかしバナナはありました。
 白いフリルのついた黒いメイド服、スカートの前を捲れ上がらせて。ついでに言うと、すでににミルクがかけてありました。
 「ちょっ、ほんっ、勘弁してください!!」
 ご主人様は殆ど泣きそうな声を上げて、窓に走りました。飛び降りるつもりです。ですが、窓は開きませんでした。ガラスも割れませんでした。バンッ、と音を立てて、ご主人様の拳がガラスに叩きつけられます。
 「なっ・・・何だこれ!?」
 するとがしりと後ろから両腕をつかまれてしまい、耳元で執事が呟きました。
 「まるいち、俺特注の強化ガラス、まるに、防弾ガラス、まるさん、ぶっちゃけガラスじゃない」
 「お前何勝手に主人の屋敷改造してんの!?」
 「ぶぶー正解はまるさん、ぶっちゃけガラスじゃないでしたー」
 にこーと笑って執事はご主人様とむかいあうようにして、「じゃあ何つかってんだよ」と怒鳴ろうとしたご主人様の口を口で塞ぎました。
 「そんなご主人様にはバツゲーム。バナナは上のお口で頬張ってくださいませ」
 ごくりとご主人様の喉を何か薬のような異物が流れ込みました。
 「なっ、・・・にを飲ませた!?」
 あたふたとご主人様が慌てて喉を押さえますが、すでに食堂まで行ったでしょうか。執事はにっこりと、
 「ご主人様を楽しませようと思いまして」
 可愛らしく微笑みました。
 


 ベッドの下に倒れこんで快楽の波をどうにか流そうとご主人様は荒く息を吐きます。それをベッドに腰掛けてまた悦りながら眺めている執事は未だに勃起したままでした。むしろ悪化したようにも見えます。
 「ご主人様、無理しない方がよろしいですよ。いつもより強めのですから、苦しいでしょう?」
 「っ・・・・はっ、はっぁ、はっ・・・・・・っ、はぁっ」
 「主従ですから、どうどうと出来ないので紅茶とかにこっそり入れても、ご主人様は御自分で我慢なさいますからね。申し訳ありません」
 「はっ・・・・・・っの・・・・・・クビに、すっ・・・ぞ・・・っ、くっ・・・・」
 ぜぇぜぇと息を吐きつつ、ご主人様はぎろりと執事を睨みますが、執事は笑顔で「楽になりたいのでしたらフェラしてください」と言い放ちました。
 物言いがストレートになってきています。「誰が・・・!」とご主人様が言い返したのに顔を歪ませて、執事はご主人様の口にキスを仕掛けました。
 抵抗も出来ず、足がびくびくと震えるのをそっと見やり、執事はご主人様の口の中を散々舌で弄くり回します。 
 「っく、んぅ、っ・・・・ふぁ・・・・・・」
 ちゅ、っと口を離すと名残惜しげにご主人様の眼が執事の口にいきましたが、それを見て、執事はぎゅう、とご主人様を抱きしめました。
 「私にも我慢の限界というものがあるのでございますよ」
 「んっ、っう、つり・・・ぎ・・」
 執事の手がご主人様のお尻を揉みました。ひっとご主人様は悲鳴を上げましたが、手は抵抗せずに執事の背中に回されます。
 「どうしてほしいですかご主人様。言ってください」
 こっ、この野郎とご主人様は心の中で執事を殴りましたがこのまま放置されたら気が狂いそうです。
 「いっ、かせろ・・・っ!」
 「給料は前払いでしょう?」
 息も絶え絶えにご主人様は執事を睨みつけると、執事はにんまり笑って自分の息子をご主人様の前にずい、と出しました。
 うえ、とご主人様は顔を顰めましたが、執事は笑顔のままです。
 諦めたように、ご主人様はおやつを口に含みました。
 もう生臭いやら熱いやらグロイやらで吐き気を催しながら、とりあえず喜ばせようとご主人様は奮闘しました。
 先っぽを舐めては舌で擽ったり、歯を軽く立てたり、どうにかしていかせようと躍起になります。
 「ご主人様、おいしいですか?」
 「っむ・・・・・・・・ふっん、ん・・・・」
 「上手いですね。流石ご主人様、経験豊富ですか」
 苛々しながらご主人様は先端を吸い上げました。と、その時。
 いきなり執事はご主人様の頭を掴むとご主人様の口の中にミルクを沢山出したのでした。
 「っ・・・・ぐ、がはっ・・・げほっ・・・・」
 「流石に飲まないか・・・はしたないですねぇご主人様。平気ですか?」
 「かはっ・・・はっ、ぁ、はっ」
 ぱっと執事が手を離すとご主人様は咽ながらすぐに身を引きます。
 口元を腕で拭いながら、ご主人様は執事を殺しそうな目つきでぎろりと睨みつけました。ですが目尻には涙が溜まっていて、執事はまたムラムラしてきました。
 これでは先に進みません。その上ご主人様も本当に色々と辛くなってきているようです。
 いつものようにつっこんでさっさと仕事にもどれと心の中で命じていると執事が床に倒れ伏しているご主人様の頭を撫でました。
 「何だよ・・・」
 「いいや、何でも、ないよ」
 執事はぐったりしているご主人様にそう言うと、ご主人様の着ている黒いスーツを脱がせにかかりました。
 ベルトをとり、ズボンを下げてやると、パンツがじっとりと濡れていました。一回ぐらい達してしまったのでしょうか。
 ご主人様は腕で顔を隠し、執事に何か言われるのだろうと身を竦めて己の惨めさに涙を流し始めます。
 ですが、執事は無言で、ポケットからローションを取り出し、ご主人様の中に塗りたくり始めました。
 「ひっ、ぃ・・・・っ!」
 敏感になっているご主人様は思わず声を上げましたが、執事はずるずると中を解きほぐします。
 「っあ、ああっ、ひっ、・・・ぃいっ」
 いつもより丁寧に、執事はご主人様のをぐちゃぐちゃになるぐらいに弄りつくしますが、いつもより強い薬を使われているご主人様にとっては苦痛以外の何者でもありません。
 ついに耐え切れなくなって、ご主人様はがっと執事の手首を掴んでその手を止めました。
 「いいっ・・・から、早く、入れろ・・・っ!」
 すると執事はにやりと笑って、ご主人様の手をそっととって、手の甲にキスを落としました。
 「仰せのままに」


 「ひっぃ、あっああああぁっ、・・・・・っ!」
 ずぶりと音でもなるかのように、勢い良く執事のそれがご主人様を貫きます。
 いつもより慣らされたそこは、容易く執事を受け入れましたが、ご主人様は執事に縋りつきながら自分からゆらゆらと腰を降り始めました。眼はぼんやりとしていて、すでに夢心地なのでしょうか。執事はふと微笑みながら、がつがつと出し入れを始めました。
 「ぅぁあああっ、ああっ、うつ、り、いっ・・・・・あああっんっ、っ」
 「・・・・・・・きし、き」
 久しぶりに本当名前で呼ぶと、ご主人様はぎゅうと執事にしがみつきます。
 流石に強かったかなと執事は心の中で反省しつつ、本日二度目の射精をしました。
 「やっ、なか・ぁ・・・・あぁあああっ、やだっいっ・・・・・・っ!」
 そして、執事が中で出してしまうのと共に、ご主人様もイってしまったのでした。




 とある丘の上にとっても質素な、しかしとても清潔感のあるお屋敷がありました。
 そこの家には有名企業の御曹司でカッコいいご主人様が、必要最低限のメイドと一人の変な執事と共に暮らしていました。
 元々ご主人様と執事は心の中では思いあっている仲でしたが、二人とも不器用だったので、全然進展がありません。
 ですが、なんだかんだで、結局この主従は幸せなのでした。
2006/9・12


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