一周年記念ミニリク

*兎軋でロリ化*

手が、小さい。
それこそ子供の手と称すのに相応しい。軋騎は本当に心の底から、この世の不思議を呪った。

(説明部;面倒でしたら飛ばしてください
ありきたりに言えばショタ化と、まぁ専門言語で言えばそう言われるものだが―――、今回は一風変わってロリ化、である。ショタ化とロリ化って何が違うんですかせんせーと意見してみたい所だが、go○の国語辞典で調べるに、ショタとは少年(ショタコンとは少年愛の女性を指すらしい)、ロリとは少女(ロリコンは同じく少女愛の男性)。
さてここまで読んでくださった方は既にお気づきであろうが、今までの方向性として、おそらく「ああ、兎吊木か軋騎が少年化するんだろうなあ」と考えていただけるのが一般だが、今回の題名を見ていただれば分かるとおり、ロリ化である。これをリクエストして下さった方がショタ化とロリ化の違いをはっきり分かった状態でリクエストしてくださったのであれば、私はもう涙を流して彼女(彼?)を褒め称える次第です。予想してませんでした。
また、ロリとショタって特に考えなかった・・・!幼児化が見たかっただけなのに!とリクエストして下さった方、誠に申し訳御座いません。藤下が一々辞書で調べるような馬鹿でなかったら予想通りになっていたでしょう。
そう、今回は今まで試みもしなかった、「女体化」+「幼児化」、短くしてロリ化の話になりました。(ついに敬語)
違う言葉で分かりやすく言えば、少女化の兎吊木と軋騎な訳です。)

「馬鹿な・・・」
がくり、と。壁に手をつきこの世の終わりを垣間見たかのような声音で、軋騎はその場に崩れ落ちた。幼児化だけでも、おそらくまともな小説(少々驚きな部分もあるが、流石にありえないことはおきないから「まともな」、と記述しておく)であるこのシリーズもので驚きなことだっていうのに、まさかの少女変異。
「こんなありえないようなことが起こってやつが来ないわけはあるまい・・・」
既に慣れっこになりつつある軋騎がそう呟くと、予想通りにばたばたと物音が近づいてきた。心なしかいつもより足音が軽い。
「おいっ、式岸!幼女化だぜ幼女化!さすがに俺も予想の範囲外!ここに来る前に自分で自分の記念撮影してきたんだが、どうだ、これから近くの幼稚園に編入とかやってみないか?少女に混ざってお遊戯会だぜ!」
「黙れっ!そんな腐った脳髄持ってる仮にもおっさんが子供の中にいると考えただけで警察沙汰だろうが!・・・なんでお前ワンピースなんて着てんの!?」
不法侵入に特にツッコミを入れることも忘れるほどパニックに陥りながら、軋騎は扉を強く開いてやってきた兎吊木に絶句した。
白髪は無く、元々女顔だったのが幸いしてふわふわの天然パーマのかかった可愛らしい女の子に変貌していた。声も高いのがこれまたよくなって、口元に浮かんだ笑みが性格の悪さを醸し出している。髭も無く(当たり前だが)どこかで買ってきたのか水色と白いフリルのついた派手でもなく質素でもない上品なワンピースを着ていると、お転婆な何処かのお嬢様だ。・・・中身は言うまでもなく30代のおっさんだが。軋騎は見知っている兎吊木の顔を思い出して、嘔吐感に見舞われた。
兎吊木はにやりと楽しそうに笑うと、ちょい、とワンピースの裾を抓んでみせる。
「このワンピースかい?ふふ、ちょっとこの間、死線に似合いそうだなーと思って買ったんだよ。まさかこんなときに使うとは思ってはいなかったけどね」
「ま、まさか、あの白スーツで買ったのか!?30歳で髭で白スーツの男が、一人で少女服を!?」
「ふふふ、その日はうっかり靴をぶっ壊しちまって、サンダルで出かけたぜ」
「俺はもうお前と街は絶対歩かない」
「ばかだなぁー過去に何度か歩いただろ一緒に。渋谷のあの・・・」
「・・・あ、あの時の「あの服は良かっただろ?」はこれのことだったのか!?わざわざ大き目の声で喋るから一体何事だと・・・!!もうあそこ一帯歩けねぇじゃねぇかどうしてくれる!」
「俺は歩けるよ」
「お前はな」
ぐぎぎぎ、と首元を絞めるも、少女の腕では禄に力も出なかった。恍惚の笑みの兎吊木がムカつく。
「しかし、着るものがないからとはいえワイシャツ一枚とは萌えポインツを狙ってくるじゃないか。この間貸したギャルゲやった?」
「やるわきゃねぇだろうが!これ以外でお前みたいに子供用の服持ってたら俺も変態の仲間入りだろ!そして俺がそんなゲーム受け取ったなんて言い方してんじゃねぇ!受け取ってもいねぇよ!」
「もー、隠さなくてもいいだろ、この恥ずかしがりやさんめっ☆」
つんっと人差し指で額を小突かれ、ついに軋騎の怒りが頂点に達しそうになった瞬間、軋騎の部屋の扉ががちゃりと開かれた。
ぎょっと二人とも扉の方を見ると、双識がぽかんとした風に扉を開けてつったっていた。手が微かに震えている。
気づかれたら、羞恥で死ぬ。軋騎は思った。
双識は「あ・・・」と掠れた声で呟く。
「キミ達・・・・・・・・私の妹にならないかい?」
「帰れ」



*大神の筆神とアマテラス*

タカマガハラに、冬は無い。
光の当たらぬ所など皆無と等しい。タカマガハラを統治する、慈母天照大神が自身ともいえる太陽が、すべてに優しい光を降り注いでいるからだ。
―――そんな、自分の太陽を自分で受けるという良く分からない構図で、かの天照は、己の屋敷の縁側に腰掛けていた。さんさんと降り注ぐ日光を全身に受け、気持ち良さそうにひなたぼっこをしている。そろそろ首が下に向けられたそのとき、慈母に仕える十二の筆神の一人、爆神が両腕に果実が沢山入った籠を抱えてやってきた。安らかな夢の中に意識を落としそうになる天照を見つけ、反射的に「慈母」と呼びかけてしまった。
当たり前に、天照ははっと顔を上げ、きょろきょろと辺りを見回す。こういう仕草は、本当の姿である獣に似ている、と爆神は心の中でそっと思った。私も化身していない時は、どんな動きをしているのか見当もつかないな、と思いながら。
「お起こししてしまい申し訳御座いません、慈母。お休みになられるのならば、せめて横になったほうが宜しいのではありませんか?座ったままでは、頭を柱に打つかもしれません」
「・・・・・ああ・・・あ、爆神か」
やっと爆神を認識して、少しだけ目を見開くも、またぼんやりとした表情に戻ってしまった。これほど暖かいと、そりゃあ眠くもなるだろう。爆神はぼんやりと微笑ましく思うと、慈母が己の持つ籠にじっと視線を向けているのに気がついた。ああ、お腹が空いたのか。爆神は一つ手に取ると、引っ掛けていた綺麗な布で表面を拭った。何でも食べてしまうので、彼女の食事には周りが気をつけなければならない。
「どうぞ。今朝畑でとれたものです。咲神に頼めれば収穫ももう少し早かったんですが、あいつら私に近づくのを嫌がりましてね。・・・まぁ、燃神に比べりゃ、私の嫌われ具合も別に大したことじゃあありませんけどね、でも、あいつら嫌いな奴にゃあ悪戯しほうだいでしょう?まぁ、慈母がやられることなんて一生ございませんと思いますがね、まぁ、そうなんですよ。私の子供達にもちょっかいかけてきて、まったく許せません、・・・って」
ぽやあ、と喋りまくる爆神を見上げる慈母の視線にやっと気がつき、爆神はああお恥ずかしい!と頬に手を当てた。
「申し訳御座いません慈母。ちょっと熱がはいっちゃうとお喋りが止まんなくなっちゃいまして・・・ああ嫌だ、これだからおばちゃんは嫌ですね・・・子供ができるとすぐこんな・・・ああ、また!」
「恥ずかしがる必要はないさ、爆」
くすくすと笑いながら、一人で大慌てする爆に、隣に座るよう促す。
「私はお前のそういうところも大好きだよ。咲達にはちゃんと言っておこう。仲良くしなければ、爆の果物は分けてやらないよ、とね」
「え?」
天照の隣に座った爆神は、きょとんとしてみせた。ふふ、と艶やかに笑いながら、天照は「逃げちゃいけないよ」と呟く。
「悪いことをしたら謝らなければならないと、よく言い聞かせただろう?・・・私が大食いなのは知っているだろう?お前達に分ける暇も無く、全部私が食べてしまってもいいんだよ?」
「え?・・・え?」
展開についていけない爆神は、天照が誰に話しかけているのか分からず、辺りに視線を這わした。すると、しゅるしゅると屋根の上から蔦が降りてきて、地面にしっかりと入っていく。続いて見慣れた三つ子の少年と少女が、馴れた様に地面に降り立った。
そしていつもの定位置のように、右から蔦ノ花神、蓮ノ花神、咲ノ花神と一列に並び、一斉に頭を下げた。
「爆神っ、ごめんなさいっ」
「え?あ、あんた達、な、何で屋根から・・・?」
「実を言うとね」
天照はクスクスと笑う。
「爆が私のところに持ってきてくれる果物をね、彼らにも分けていたんだよ。いっつも悪戯ばっかりしているから、面と向かって「ください」なんて言えないと言ってね。黙っていた私も悪い。謝ろう。爆、すまない」
天照もすまなさそうに目を伏せる。爆神は大慌てで「いえいえとんでも御座いません」と叫んだ。
「謝っていただくほどのことじゃあ御座いませんよ!ただ・・・」
「うん?」
「あ、いえ、何でも御座いません、慈母。・・・花!」
「「「はいっ」」」
爆の怒号に花神たちが背筋を伸ばした。殴られる心の準備はできているのだろう、目を瞑っている。母親の拳骨はいつでもどこでも痛いというのが決まりである。
「果物が食べたいなら、慈母じゃなくて私に言いなさい!」
「はいっ・・・・・・・・え?」
「あと、水を上げるのは濡神のおかげだから、濡に御礼を言うこと!早く食べたいんなら、自分達の力も使って育てること!食べたあとは散らかさない!」
「・・・・・・怒んないの?」
女の子である咲ノ花神が首を傾げる。爆はふっと笑うと、それぐらいで怒るほど、私は心は狭くないと胸を張って見せた。
「せめて償いだと思うんなら、私の坊や達と遊んであげな。・・・お兄さんに、お姉さんなんだから」
花神たちは目を合わせると、目を輝かせて力強く頷いた。果物よりも、今は初めての「お兄さん」「お姉さん」に興奮しているらしい。あっという間に、蔦ノ花神の力で、遠くの花へと乗り移り、爆が寝床にしている場所へと飛んでいってしまった。
「次は豊作かな?」
くすくすと微笑みながら、腰に手を当てる爆を見上げる天照に、「そうだといいですね」と、まるで子供が増えた母の顔で、爆は楽しそうに微笑み返した。



*軋識と人識と兎吊木と蝙蝠と白鷺と喰鮫とティキとロード混合小説*

「れあ」
白鷺がきょとりと頭を上げた。それに釣られて蝙蝠も顔を反射的に上げたが、次の瞬間それを後悔した。
「やっほぉー、元気ぃ?まにわに」
視線の先では、この厳重かつ危険極まりない牢獄に似あわない二人組みが明るく入ってきたところだった。
ひらひらと手を振ってくるゴスロリ少女は高そうかつ趣味の悪い髑髏のあしらったアクセサリをじゃらじゃらと体につけている。その背後にたって呆れ顔で「よお」と挨拶してくる背の高い男は、燕尾服にオールバックという英国紳士のような出で立ちで、いかにも凸凹コンビといった所だ。蝙蝠はこの少女が苦手だったので、背後をとられないようにあからさまに椅子を引き、二人と対峙した。
「様嬢お、なか用のんなは日今?」
「いつものお仕事だよぉー。白鷺さあ、噛みそうにならない?その喋り方」
お嬢様と呼ばれた少女はくすくすと笑いながら、CDディスクをひらひらと振って見せた。
「なんだ、チームの方か」
「そ。だからさっさと連れてってぇ、蝙蝠ちゃん。刑務所の囚人が入ってる所は、警備員付きが条件でしょお?」
「きゃはきゃは・・・ちゃん付けで呼ぶなっつってんだろ馬鹿ロード」
「性別不詳なんだからぁ、別にいいじゃーん。それに蝙蝠ちゃんのほーが、可愛いよぉ。ね、ティッキー?」
話を振られた背後の男―――ティキ・ミック郷は、顔を歪めて嫌そうに「そうかあ?」と声を上げた。
「ちゃん付けでもなんでも、男の姿なんだからおかしいんじゃね?」
「えー?いーじゃん面白いし」
結局それが理由か。白鷺も蝙蝠もティキも、一斉に肩を落としたが、成る程、我侭お嬢様、ロード・キャメロットには最高に似合う。
蝙蝠はさっさと連れてってさっさとお帰りいただこうと判断して、壁にかかっていた金庫の中から一つ鍵を取り出し、牢屋へ続く鉄製の重い扉をゆっくりと開けた。

「おい、喰鮫」
「!おや、おやおやおや、ロードお嬢様、ティキ・ミック郷、ご機嫌麗しゅう。ああ、今日はとてもいい日ですね、いい日ですね、いい日ですね、いい日で―――」
「578番の兎吊木だ。連れてけ」
喰鮫の台詞を途中で遮り、監獄の鍵を押し付ける。廊下のパイプ椅子に座っていて一人暇を持て余していたのだろう、命令を聞くや否やうふふと楽しげに微笑み、立ち上がる。ブーツの音が高く遠く廊下に響いた。
「蝙蝠は一緒に来てくださらないんで?」
「お前とは一緒にいたくねぇしな」
「ふふふふふ、手厳しい。まぁいいですよ」
しかし喰鮫は一向に気にした様子もなく、ロード達に何も声を掛けずに目的の場所へと向かった。ロードたちも無言でそれを追いかける。
両側に鉄格子の牢屋が長く続き、やっと現れた角を曲がると、そこには片側だけにガラスのような透明なケージが陳列されていた。中は真っ白で、清潔に保たれている。
『あ、ロードじゃん』
「やっほー人識」
そして、575番と書かれた部屋の前で、ロードたちは一度足を止めた。透明なケースの中に入っていた人識は「零崎に仕事でも持ってきてくれた?」と楽しそうに笑った。
「残念。今日は人殺しじゃないの。ハックと侵入。あのイカれ兎にお仕事頼みに来たんだよ」
「つまんねー。え、じゃあ何、大将には用事あんの?」
ロードはティッキーに促すように目で見つめた。ん、と暇そうだったティキは「あー」と肩を竦める。
「兎の調べた内容によっちゃあな。少なくとも、今回は人識が出る場面じゃないね」
「ちっ、エセ紳士が」
明らかに不機嫌になると、人識はごろりと部屋のベッドに横になった。この透明な牢屋に入れられている者たちは、金持ち達により殺人やそのほか違法なことを依頼されたりなどをしている。罪人なので、死んでも問題にならないからだ。
人識を含む零崎一賊は、一週間に一度全員会合することを約束に、ここで仮保護・殺人の斡旋を受けている。
喰鮫に導かれるままに人識のケージからいくつか進み、そして今回目当ての兎のケースへと辿り着いた。中に座っていた中年の男は、ロードを見るや否や「おお少女!」と嬉しそうに叫ぶ。
「うふふ、なんだい俺に仕事かい?つまらない仕事だったら、今度こそ一日一緒に同じ牢屋に入ってもらうからね」
「それを阻止するために俺が来てんだってーの」
「なんだいたのか色男。20年若返ってから来い。歓迎するぜ」
にやにやと笑いの止まらない男に呆れ果てながらも、ロードは負けずに不適な笑みでCD−ROMをケースの横の箱に入れた。それを押し込むと、兎吊木のケージへと移る。
「千年伯爵からの命令。今日以内にぶち壊せ、だってさ」
「・・・・・・ここの会社?・・・・多分式岸の力が必要になるから、先に連れてきた方がいいよ」
「逢いたいだけなんじゃないの?」
ロードの一言にくすくすと笑うと、兎吊木は「言うじゃないか小娘」と低く唸るように言った。
「少女にそんな口聞くの?」
「キミは蒼くないからね」
兎吊木はそう言ったきり、牢獄に一つ置かれたパソコンに集中し始めた。それを見届けてから、ロードとティキは人識の側へと戻った。零崎一賊は一方向に置かれている。
いくつかケージを通り過ぎ、零崎の古い側が多い場所の一つの前で足を止めた。
中に入っていた男、今は零崎軋識は、ロードとティキを見るなり顔を顰め、「どっちの仕事だ?」と一言呟いた。
「どっちが良かった?」
「個人的には、零崎だっちゃね」
「残念。いつか持ってくるよ」
「・・・・・兎吊木とはやらねぇぞ」
「そう?じゃあ、人殺しはしばらくお預けだよ、狂犬ちゃん」
中に入っていた式岸軋騎は、忌々しげに舌打ちをすると、壁にかかっていたスーツのネクタイを手に取る。
「それで俺は、何をすればいいんですか?」
軋騎は至極冷静に、依頼人へと不適に微笑んでやった。
2006/8・01


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