■またぼくとデートを
客の入りが少ないファミレスの隅っこで、この間のデートのお礼だよ、と時刻が差し出したのは白い箱だった。お礼ってなんだ、と思いながら真心はすぐに箱を開けた。貰ったプレゼントをすぐ開ける習慣はアメリカで身についていたものだったが、時刻はにこにこしてみているだけだった。
箱の中に入っていたのは靴だった。高級そうな白いエナメルのミュール。真心がそれを眺めていると、時刻は「サイズはきっとあってるよ」という。
「前サンダルを預かった時、サイズは確認したから」
「変態みたいだな、それ」 「好きに言ってくれ。君に似合うと思ったんだ」
「げらげらげら! 時刻は尽くすタイプなんだな」
「今時珍しいだろう?」
真心はテーブルの下でサンダルを脱いでミュールを履く。ほら、と立ち上がり、時刻に見せた。ヒールはそこまで高くない、シンプルで上品なものだったが、真心の小さな足が履くとまるで玩具のようだった。
「似合うか?」
「似合うよ」
凄く可愛いよ、と時刻は言う。お前はどうしてそう言うことが嘘っぽいんだろうなぁ、と真心は笑った。
信じてくれなくてもいい、と時刻は思う。君の可愛さを僕が知っていれば。
2011/3/20
「ぼくとデートを」収録予定変更