■ブログ短文集

■とがめと蝙蝠(白鷺と七花

「・・・・・・何故私はお前と会話するはめになっているのだ」
「きゃはきゃは、そりゃあの虚刀流について、虚刀流を交えずに会話するためだろ」
「っていうかお前死んだんじゃなかったのか」
「そりゃお前、「ぱられる」とかって奴だろ?奇策士なんだからぎゃあぎゃあ喚くなよ」
「・・・・それで?七花について何を話すと?」
「ああ、そうだ。俺聞きてぇことがあんだよ」
「何だ?」
「あいつよぉ、二十過ぎなんだろ?」
「ああ・・・・そう聞いている」
「あの島で姉と二十年間2人っきりだったんだろ?」
「・・・・・・・・・そうだな」
「童て」
「ちぇりおぉぉぉぉ!!!」
「うおわっ!あっ危ねっ!なんだよ殴んなよ!」
「おっ、お前は一体私に何を聞こうとしているんだ!?」
「いや・・・筆下ろしはまだなんかな・・・と」
「・・・・・七花、居るか?まにわにがもう一度殺してほしいらしいぞ」
「呼んでもこねぇよ」
「まったく・・・お前は本当に何がしたいんだ・・・七花にでも惚れたか?」
「あーうんまぁそんなトコ?」
「・・・・・・・・・ふっ・・・・残念だが、奴の心はすでに私のものだぞ・・・」
「体はまだじゃん」
「死にたいのか?」
「いやーでもさぁ、あいつホントいい体してるじゃねぇか。あんな鍛えぬいた無駄の無い体はそうそうお目にかかれないと思うぜ?きゃはきゃは」
「・・・まぁ・・・それは、そう、だな・・・」
「あんただって、出会って鼻から「いい体してる〜」とか言ってたし」
「どこでそれを!?」
「実際よぉ、上半身裸で旅なんかしてたら、あっち趣味の人も出てくんじゃねぇのか?あんなボケっとした穢れを知らないですって顔面に書いてるような状態で、かつあんたみたいな戦闘能力の下の下の下みたいな人間と一緒にいたら、あいつ一人で何とかできんのかよ」
「だから、すでに自分を守れと言っておいてある!そこいらの雑魚なんぞ七花には指一本触れることも叶わんわ!」
「(目ぇ潤んでやがる・・・)へぇ・・・じゃあ気をつけろよー。俺みたいなのに目ぇつけられねぇように」
「五月蝿いわこの色情魔っ!」

「・・・・・」
「かいなくなてれらめ褒かしとこの体か何、たんあ」
「・・・・え・・・・っと・・・・何だって?」
「かいなくなてれらめ褒かしとこの体か何、たんあ」
「・・・・・・俺のキャラって結局どうなったんだろう・・・!」(白鷺が何て言っているか聞き取るのをもはや諦めた)



■学園物だったら?設定ネタ

「・・・なぁ、七花」
「うん?」
「・・・・・・お前のこと好きだって言ったらどうする?」
「はぁ?・・・・・・俺も蝙蝠のことは好きだぜ?」(BLネタお約束)
「じゃ、なくって!その・・・とがめみてぇに、俺がお前を愛しちゃってるとかって言ったら、だよ」
「・・・・・・・・俺はとがめを愛しちゃってるけど」
「・・・いや、俺が悪かった。忘れてくれ・・・」
「・・・・・・・お前と付き合うとしたら、お前愛人になっちゃうぞ」
「・・・・・・・・・・・・?・・・え?」
「俺とがめと付き合ってるし」
「・・・・そっ、そういう問題なのか!?」
「でも愛人って嫌なんじゃないのか?」
「えっ、い、いや、別に」
「?」
「愛人でも何でもいい」
「・・・・」
「お前が好きだから・・・」(ごにょごにょ)

「・・・・・・・・・」
「・・・・・なんですかあれ」
「蝠蝙と花七」
「じゃ、なくって!愛人!?愛人って何事ですか!?蝙蝠が穢されますよ!?」
「なう言かとるれさ穢」
「虚刀流と会話すると馬鹿になる呪いでもあるんですか・・・!?」(わなわな」


その後

「ときに七花、風の噂で聞いたのだが」
「うん?」
「浮気しているというのは本当か?」
「うん」
「そうか。お前は色恋沙汰にまったく無関係のお前が浮気なんてできるわけが無いと思っていたぞ・・・ってしてるんかい!」
「うん」
「私のことは遊びだったと言うわけか!?酷いぞ七花!そんな奴だなんて欠片も思っていなかったのに、私の心を踏みにじったな!?」
「ご、ごめん」
「とまぁ、それは置いといて・・・で、相手は誰だ?」
「・・・怒ってたんじゃなかったのか?」
「いや、言ってみたかった台詞を言ってみただけだ。しかし私は少し嬉しいな。まさかお前が浮気できるほどの甲斐性を持っていたとは・・・逆に喜びたい所だ」
「そうっすか・・・」
「で?お前の浮気相手は誰だ?」
「蝙蝠」
「・・・・・・・・それは・・・予想外だな。てっきり迷彩とか、鴛鴦らへんだとてっきり・・・」
「なんで迷彩先生が出てくるんだ?っていうか鴛鴦って誰だよ」
「あ、いや、深い意味は無い。鴛鴦には後々会うだろ。そうか・・・蝙蝠か・・・お前、何処に惚れたんだ?」
「・・・え?」
「どこに惚れたと聞いてるんだ」
「どこに・・・うーん、どこだろうな・・・でも結構可愛いじゃんか」
「お前のように広い感性は持てないが・・・可愛いのか?」
「ああ。なんか色々どうってことないって感じに振舞ってるけど、慌てたりしてぼろが出るとすぐ慌てて、可愛いと思うぞ」
「・・・可愛さでいうならお前の方が可愛いと思うがな・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いや、何も」
「でも、一番可愛いのはとがめだと思うぜ」
「・・・・・・・ちぇ、ちぇりお!」



■錆七

 もはや転がる形をとりながら、ごつごつとした岩肌を滑り落ち、地面に叩きつけられるかと思える瞬間、その体をばねの様に跳ね上げ、七花は島のやって来た海岸の真逆の砂浜に着地する。ざらり、と足の裏を包み込む柔らかな砂に片足をつけ、そのまま後ろにくるりと回転して、後を追ってやってきた白兵の一撃を背中の皮すれすれでかわして、波打ち際に躑躅の構えを持って相対する。
 一撃に深追いはせず、もう一度刀をすっと平面にして己の首下で七花に刃の切っ先を向ける白兵の視線は、少しも変わることは無く、その手に持つ刀と同様、酷く美しいまま目の前の剣士に殺意を向けていた。
 「ふー・・・」
 上半身は少しも動かさず、下半身を低く落とし、走る、というよりは飛ぶ形を取る。既に拝ませてもらったが、白兵の足運びは七花を遥かに凌ぐ。走ったり避けたりという平面移動にしては、白兵に追いつかれることは確実だった。それ故に、その攻撃を避ける場合は上下移動。岩場を使っての跳躍が主だ。白兵もそれを熟知しているが故に刀を既に上の方に構えている。
白兵の身長は七花の身長に遠く及ばないため、現在白兵が上に構えると、丁度腰を低めに落とした七花の心臓を真正面にとらえる形になる。刀を構える場合、基本的に切っ先を向ける場所は首か心臓が常套手段だ。
 七花は先程己が転げ落ちてきた崖になっている岩場を視線のみで一瞥し、そこへ素早く飛び移るための岩場の場所を確認した。袴の裾を駄目にしてしまうのは元より承知だ。
 しかし、一人だけで白兵に勝てるのはまぐれでなければ無理だろう。せめてとがめがいてくれれば、先程一撃を叩きこめれそうになった策も出てこようというものだろうに。
 足りない頭で、兎に角今は攻撃をするよりもまずここから生きて脱出し、とがめと合流することが一番だろう。俺は怪我をしてはいけないのだ。
 「虚刀流」
 「・・・・・・・・・」
 刃の切っ先はまだ七花の心臓に狙いを定めたまま、突然白兵が口を開いた。
 「虚刀流、お主」
 「・・・えっ、何だ?」
 既に精神も意識も戦闘に向けられていた七花は、白兵の言葉に一歩遅れて返答した。会話にも気を回せない程七花は疲弊していたが、白兵は別にそんなことはなさそうだった。驚きながらも、七花はすっと足を引き、岩場に一歩近づく。
 「奇策士殿とはどういうご関係でござるか」
 「・・・・どう、って・・・俺はとがめの刀だ」
 何を戦闘の最中に、と一瞬気を緩めそうになるが、しかし、余裕があるのは錆が日本最強だからだ。己に余裕をかます暇は無い。七花はそう思い返し、なだらかな傾斜をずりずりと上る。白兵もそれに倣って、独特の足運びで音も立てずにすっと七花についてきた。刃は狙いを外れない。
 「好いたの惚れたのという関係なのでござろう?」
 「・・・・・・ああ。まぁ、俺はとがめを愛してるからな」
 反応が遅れたが、しかしそれはちゃんと肯定する。白兵は、少しだけ顔を顰めさせると、「破廉恥な」と一言呟いた。
 「・・・・・・・うん?」
 「武士ともあろう者が情けないと思わんのか、虚刀流。戦場でいちゃつくなど命知らずも良いところでござる」
 ぽかん、と言葉をなくしてしまうが、しかしここで気を緩めたら先程「拙者にときめいてもらうでござる!」と宣言した白兵相手に一撃喰らいそうになったことの二の舞である。顔を引き締め、白兵を見据え、七花はそれでも不審気に口を開いた。
 「じゃあ、さっきのときめいてもらうでござるとかっていうの何なんだよ」
 「そんな台詞に惑わされるようなもの、戦う価値もないと思っての誘いに決まっておるだろう。そもそも、男に男がそう欲情するものではござらん」
 「・・・・うーん」
 会話が、食い違っている。
 今更―――、本当に今更だけれど、もしかして錆って、馬鹿?
と、一番馬鹿と言われたくない相手に馬鹿疑惑を持たれた白兵は、そんなこともいざ知らず、刀を緩やかに上げ、七花の心臓部に向けた切っ先を少し上げ、首もとの直線状に切っ先を乗せた。
 「そもそも、『遺品』であるお主にそんな言葉意味は無いものだとは分かっておるが、それ故に解せぬ。刀が好いたの惚れたの―――おかしいでござる」
 「・・・おかしいかな」
 「おかしいでござる!」
 駄々こねた子供みたいな声だった。
 「拙者は、己が失敗作ではないと思っていた頃、そんなことが起こらぬように細心の注意を払い、刀として生きたのだ。それを、お主・・・」
 何だか分からんが、どうやら憤慨しているようだった。幼さの残る白兵の言葉や仕草や、今まで恐れしか抱けなかったその美貌にも、今更ながらたじたじになってしまう。
 七花はやっと岩場の元まで到達した。白兵は、ぎっと七花を睨みつけながら、「拙者、今思ったのでござるが」と突然声音をいつもの冷静な声に戻した。
 「最強の剣士がここに居て、最強の刀がここにある、となれば、何が起こるかは決まっていると思わぬか。虚刀流」
 「・・・・・」
 雲行きが怪しくなってきたことを、流石の今の七花も感づいた。
 「刀と剣士なら、お主ととがめ殿と同じく、破廉恥でもあるまい」
 白兵は一歩砂を草鞋で踏みしめた。
 「虚刀流、拙者にときめいてもらおう」
 次の瞬間、七花は野生の獣並に無駄の無い身のこなしで岩場に飛び乗り、そこからまた跳躍して一瞬のうちに崖の向こうへと姿を消した。
 「おのれっ、まだ逃げるか虚刀流!」
 「とがめ!とがめっ!何処にいる!?早く来て何か策を思いついてくれ!色々限界なんだよ!」
 少し涙目になりながら、全速力で島を疾走する。島の頂上で力尽き、ぜいぜいと肩を落とすとがめを発見するのに、さして時間はかからなかった。
2008/1・18


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