■ブログ短文集

■兎軋馬鹿会話

「近頃俺達マンネリしてきたんじゃないかと思うんだ・・・」
「何を突然言い出すんだ毒電波が」
「去年は確かギャップ萌えの時代だったと思うんだ。だが、普通ギャップ萌えはマンネリしてから細かいギャップに萌えて燃え上がるもんだろう?俺達はギャップ萌えから入りキャラ萌えしちまったんだよ。つまり一般と逆できちまったわけだ。ここまではいいかい式岸くん」
「聞いて無いから一人でとりあえず言ってろ」
「寂しいこと言うなよ!これから濃い話をしてしまうたびに一人よがりになっちまうだろうが!!放置プレイにはもう既に快感を見出すことはできないことに気がついた、兎吊木垓輔35歳」
「誰に向かって自己紹介してるんだ」
「お前のそういうツッコミが俺を救ってくれるんだ・・・」
「おい、ちょっとお前それ何かパクってるだろ。確実に180度違う奴の」
「深いことは気にするな!懐も小さければ×××も小さいぜ!」
「お前ほんと口縫い合わせてやろうか?」
「まぁ聞けよ!でだな、世間の波に乗る俺は現在の萌え波を「ヤンデレ」と見た!!」
「ヤンデレってなんだよ・・・」
「この間ツンデレ教えてやったろ?」
「・・・ヤン・・・ヤン、キー?」
「なんだよヤンキーデレって・・・不良なのにデレってつまりツンデレじゃないか!だめだなぁ世間知らずは・・・やれやれ恥ずかしい奴だ。これを公衆の面前でやったら確実に羞恥プレイだぜ」
「お前がな」
「ヤンデレっていうのは、つまり病んでるデレ、つまり相手が好きすぎてうっかり殺しちゃったりもするようなのをヤンデレって言うんだよ!!」
「ただのキチガイ殺人犯じゃねぇか」
「馬鹿野郎!夢も希望も無い正論を言うな殺人鬼め!」
「病んでる人間に夢も希望も見出せねぇだろ!!」
「まぁ、巷で有名なひぐら○のなく頃にを初め、色んなアニメに一度はある主人公の欝期を担いでのヤンデレに世の中が萌え萌えするわけなんだが・・・俺達もそのヤンデレを導入するべきだと思うんだよ」
「誰が?」
「普通ヤンデレは受けなんだよ。襲い受けのヤンデレなわけだな」
「俺に病めって言うのか?」
「あ、既に病んでるか・・・だってロリコンだもんな」
「てめぇにだけは言われたく無かったよ!!!」
「でもどっちがヤンデレかって言えば、俺のほうがヤンデレ度高いと思わないかい」
「知るか・・・」
「でもお前の最大のヤンデレ武器は「叩いてくださってありがとうございました」だしなぁ・・・でも俺もそれ言ったことあるぜ。「踏んでくださってありがとうございました」ぐらいは初級だよな」
「確認してくるなよ・・・」
「上級までいくと「罵ってくれてありがとうございました」だと思うんだよ。俺そろそろ口走っちゃいそうで自分で自分が恐ろしいぜ」



■蒼街(夢)

どすっ、と音をたてて刃渡り20センチほどの短剣が己の心臓部へと突き刺された。
俺を押し倒しその上に馬乗りになる彼女はにこにこしたまま、俺の胸から銀色の刃を生やさせた短剣の柄を両手で握り締めて、続いてじわりとシャツを赤く爛れさせてきたそれを見下ろすと、「えへへ」と恍惚の笑みを零した。
こんな時でさえ愛しい。
「死線、」
「嬉しい?」
じわりじわりと滲みてくるその紅が押し寄せてくる永遠の海を思い出させ、目頭が熱くなる。少女はふふふ、と青すぎる双眸を柔らかく細めると、俺の胸に突き刺さる短剣を引き抜こうとするためにぐっと上へと引いた。
「がぁ、あ・・・・」
「ん、中々抜けないねぇ」
のんびりとした彼女の声。そりゃそうですよ、貴方の刺した短剣は恐らく俺の肋骨も貫通させて、刃渡りの形状とかから察して肉の塊に挟まってるんですから。
力を入れて引き抜かれる度に俺の体が上に引っ張られ、肉が収縮するのにあわせて呼吸とずれ、げふげふと口から血が溢れた。
「ふふ、ぐっちゃん、私に殺されて嬉しい?」
「はっ、はっ、ごほっ」
咽ると喉奥から飛び出た血の塊が顎下からかなりの範囲に散らばった。30万のスーツが一気にパーである。どうでもいいか。彼女の手にかかって使い物にならなくなるのなら、スーツも浮かばれるだろう、だなんて馬鹿みたいなことを考えながら。
「嫌なら、嫌だって、言っていいんだよ?」
にこにこと楽しそうに彼女が笑った。ずっ、ずっと自分の体が引き摺られながらも、ゆっくり、ゆっくりナイフが抜き取られていく。
「いや、じゃ、ありません」
「そう。じゃあ、」
ナイフが抜けるのと同時に、勢いが良すぎてナイフから飛び散った血が、俺の右瞼の上にぴちゃりと飛んできた。同じように一滴の血液が飛び、彼女の頬を汚す。
俺の血が彼女についたことに一瞬の罪悪感と至上の喜びが身を襲った。それでも死線はなんでもないかのようにわらう。
「殺してくださってありがとうございます。って言って」
「殺してくださって、ありがとう、ございます」
「えへへへへ!どういたしまして!」
彼女は笑う。わらう。哂う。わらう。
貴方の笑う顔が見れて、嬉しいです。
言葉は口内に溢れる血液で溺れた。
どすっ、ともう一度、彼女の振り上げたナイフが自分の心臓部に突き刺された音が室内に響いた。



■時真(四年後(1

時宮を追放された身として、僕は特に行き場が無かった。元々根無し草だったが、予定外の《十三階段》へのメンバー入り等が重なり、狐からの提供で住む場所も与えられていたのだが、その《十三階段》も解散した今―――行く場所も行きたい場所も無く、ただ〈いーちゃん〉に敗北したことにより何もできず、ただふらふらと、目的も無く意味も無く惰性のように、世界が終わればいいなぁと思い続けながら生きてきた。
それも、四年。
よく死ななかったものだと、自分でも感心した。
意味も無くとも、人は生きれるのだと実感する。
とある企業の取り締まり役を数名に催眠術をかけ、定期的に生活に必要な分の金を振り込ませて全国放浪のような生活を続けてきたが。
「さて―――飽きたな」
言葉に出すと、予想以上に疲れていた。公園のベンチに座ると、鳩が物珍しげに近づいてきたが、「残念だが君らにやる食べ物はないよ」と囁く。鳩は分からないのか丸い目玉をくるりと回さず僕を見続けた。鳩に操想術はかけれるんだろうか?どうでもいいか。
僕は鳩に飽きて視線を正面へと戻した。その正面にあるのは公園に唯一の噴水が陣取っているはずだった。しかし、僕の目の前に存在していたのは噴水ではなかった。
「・・・・・・」
突然現れたそれに―――僕は絶句する。
彼女は、4年前に恋焦がれ憐憫の情を抱いたその彼女が、立って―――僕を、見下ろしていた。
橙色の髪はさっぱりと切られ、後ろで団子にされているようで、前より身長も、伸びていた。動物園で飼い殺しにされている獅子のように、がりがりにやせ細り、それでも獣のように目だけを輝かせていた少女は、その目にあったように、成長していた。
橙色の、両目は、僕をじっと見つめて放さない。
しかし、僕は容易くその視線をそらして、もう一度彼女を観察する。
動きやすそうなスパッツに、短いパンツ、ノースリーブのだぶだぶとしたワンピースに藍色のジャケット、そして、裸足ではなく、紫色のスニーカーを履いている。以前とは違う、世間の波に混じりそうな、今時の女の子の格好をしていた。
しかし、それでも、太陽のような、獅子を思わせる橙色の髪と両目は彼女以外にありえない。
僕は。
僕は――――――両目から涙が溢れたのを感じた。
僕を、殺しに来てくれたのだろう、か。
4年前に、かつてはその体を鎖で雁字搦めにしたこともあり――――無理に彼女を解放した。あの時は、狐さんやいーちゃんを殺すように、僕も殺してくれれば良いとおもったのだけれど。
いーちゃんの言葉を思い出した。世界は終わらないと―――彼は言った。無謀にも。僕の願いをその一言で踏み潰した。
世界の終わりは、本人の終わりだと。
「想影――――――真心」
終わる。
人類最終。
僕はベンチから立ち上がり、彼女へと跪く。次に襲い掛かるであろう衝撃を予想して、僕は目を伏せ―――――。
そして、彼女はゆっくりと手を伸ばし、僕の肩へと手を置き、そして、

「あんた金持ってないか!?」

と叫んだ。
・・・・・・あれ?



■上の続き(未完



■ずたずたの死線(初潮

朝から体調が悪かった。
幸か不幸か、チームの友達は昨日から誰もやってこない。ぐったりと体にかかる疲労感は下腹部に溜まり、只でさえ痛む頭がみしみしと悲鳴をあげる。
「いた・・・・ぅ」
ベッドの上に縮こまり、ずきずきと染み渡る激痛に奥歯を噛み締めるとじわりと口の中に血の味が広がった。吐血している。
「う・・・う、ぁはっ」
咳き込むように、喉奥に引っかかる痰をティッシュに吐き出せば、予想通り赤黒い塊がどろりと溢れた。下腹部の痛みはまったく治まる気配も無く、じくじくと響いていく。
腹部にナイフが突き刺さっているような痛みに嗚咽を洩らし、黒いコートの中に埋もれるように身を縮ませていると、突然太腿から液体の付着する音が聞こえ、無言の末、のろのろとした動きで右手の指先を太腿の内側へと向かわせた。そこは生温い液体で濡れていて、それを薄暗い中確認してみれば酸素を取り込んで黒ずんだ血液がたっぷりと指先を濡らしていた。
「・・・・ふ、ぅ、う」
引き攣るように笑ってみれば、痙攣した腹部がさらに痛んだ。ティッシュを何枚か取り、太腿の周りをぞんざいに拭い、ベッドを汚したくなかったので体を引き摺るように床へと転げ落ちた。ついでに引き寄せたシーツを上半身の下に引き、一応痛みの無い様に支える。
「子供なんてできるわけないのになぁ、」
嘲笑うように呟きながら、冷たい床の上を足裏が掻く。痛い。苦しい。――――生きているからだ。
「ふ、ふふふ、ふ、あはは、はははは」
チームの誰かを呼びつけようかと思ったが、パソコンのある場所へ移動するのも面倒だった。腹痛は全身への激痛へと変わり、死に掛けの体を鞭打つ。
それでも死線は楽しそうに笑い、幸せそうにシーツへと体をくるませた。
2007/12・29


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