■ブログ短文集
(キチガイチーム)
小さな白い足はやせ細り、骨がとつとつを浮き上がっている。瞼の裏の彼女の笑みは私の脳髄を犯して止まないのだ。(ああ、もしかしたらこの白い肉の中に入っているのは赤い血ではなく)(まさか蒼なのではあるまいか?)(失笑は隅の闇に混ざる)私を罵って嘲笑ってくださいませ、世界に唯一の我らが暴君!(貴方の言葉ならば(例え嘘だとしても)この心臓くりぬいて捧げる次第で御座います。(願いが叶うのならば私の血をどうぞその身に一滴でも垂らしてその蒼を穢してくだされば(恍惚に我からギロチン台に己の首を捧げる次第で御座いますわ)愚かな肉塊に御慈悲を!
(くだらないものを見る目で私を見下し哀しい生き物を嘲笑うように口元を歪めてくだされば)(それだけがわたくしのいきがいなのでございます) (永遠の蒼よ!)
(時刻)
「××」
部屋の隅で蹲る少年を、女は囁くように呼んだ。辺りは暗い。暗澹とした闇が、明かりも灯さない室内を喰らっているかのようだった。少年は、ゆっくりと、顔を上げる。
少年の双眸は暗闇の中では美しい紫色をしていた。闇を吸い込んだように中央が暗く、グラデーションが掛かっているように、目の端に行くにつれて鮮やかな蒼と紫の混ざる宝石のような目を、ぱちぱちと二、三度瞬きをする。薄い金色の睫毛で縁取られた両目は、呼びかけた女を捕らえ、あどけない唇から「かあさん」と一言零れさせた。
「・・・僕の処分が決まった?」
くっ、と自嘲するように少年は唇を歪める。そう、どちらかというと己のことを馬鹿にしているようにも見える。幼い少年に似あわないその笑い方は存在自体を歪めているようで、女は痛々しくて見ていられないとでも言うように顔を顰めた。
「お前は、一族を追放されるわ」
「・・・・・へぇ」
「出なさい」
女は一足先に部屋を後にする。少年は気だるそうに立ち上がり、食事もまともに取れなかったせいかふらふらと覚束ない足を引き摺るように外へと出た。
どうやら、少年がいた部屋は屋敷の中ではなく、外に直接繋がっている独房のような小屋だったようだ。少年が外に出ると、柔らかな月光が少年の体を浮き上がらせる。光の元で見ると、少年の瞳は薄くなり、透き通った蒼へと変わる。
外には女しかいなく、押し付けるように渡された荷物を少年は反射的に受け取った。
「お前はこれから時宮の地を踏むことは許されないわ」
「分かってる」
「・・・・・・・・××。お前はこの名を捨て、これから時宮時刻と名乗りなさい。異端である時宮からすら追放された人間に付けられる、世界で唯一の汚名です」
少年は、―――――時刻は、どうでもいいことかのように頷くと、そのまま身を翻し、屋敷から出て行こうとした。
しばらく進んでから、見るに見かねた女が、苦しそうに呟く。
「××、ごめんね。お前を産んでしまって、ごめんね・・・そんな風に生まれるぐらいなら、産まなければ良かったのに」
その声は、時刻に届いたのだろうか、分からなかったが―――。
そんなこと、時刻にとってはどうでもよかった。時宮時刻となった少年には、母も家も無い。
その瞬間、時刻にとって、背後で只泣き続ける母は只の女へと成り下がった。
行き先は何も決めていなかったが、時刻は黙々と歩いた。とにかく女の泣き声が煩わしく、そして不快で仕方が無かったから、そこを離れるために無言で歩く。
(時計は壊れてしまって―――――――永遠の止まることを望むようになる)
(刀語7巻 七花)
とがめが姉に交渉しに行っている最中のこと。
七花はとがめにも言っていた通り、鈍った体をある程度ほぐしておこうと、階段を駆け下りていた。手始めに走っておこうと、そんなことを思ったわけだ。
場所が場所であるだけに、お約束の階段の量は半端では無かった。体力が無い人間にここで剣術を学ぶ資格は無いとでもいうことなのだろうか?
しかしどうでもいいことなので深くは考えないが、七花もそんな階段に別段興味も無かった。どちらかというと、出雲の敦賀迷彩の寺の方が階段の量が多い。あれをとがめをお姫様だっこした状態で上ることができた七花だ。走って降りること造作でもない。
少しもすれば地上へとつき、七花はふー、と一度大きく息を吐いた。全力疾走も久しぶりな気がする。長い船旅の上に雪山のぼり、また船である。近頃は体を動かさないにも程があった。・・・違う意味で、錆びるのにも仕方が無い。
七花はそのまま、驚くべき速力を持ってして降りてきた七花を呆然として見てくる見物人から逃げるように、近くの街道へと向かった。こうしてみると、こんなにも多くの人と会うのは久しぶりである。
誰か喧嘩を吹っかけてくるものが居るかどうか少し不安になったが、しかし現在門を閉じているせいで、剣術家は少ないらしい。皆階段を奇異の目で見ては、己の行くべき道へと足を進めていた。そんな傍ら、七花はまた登るかな、と少し準備体操をした所で(降りてくる前に準備体操はするべきではないかというツッコミを入れる人間は今ここにはいなかった)、ふと足元に咲いていた花に目を留めた。
蒲公英、である。
黄色いやわらかな花弁をコチラへと満開に開かせていた。可愛いな、と一瞬見蕩れる。
そうだ。不承島には、沢山の、蒲公英が咲いてるところがあって―――。
記憶の場所は鮮やかである。珍しくも姉が気に入っていたから、印象は強い。家に姉がいないときは、必ずそこに姉は座っていた。
苦しそうに、顔を顰めて。
苦しそうに、薄く呼吸をして。
それでも懸命に、蒲公英と共に、柔らかな日差しを一心に体に受けていた。
白い、あえて言うのならば、百合のような儚い体を。
「姉ちゃん、平気かな・・・」
今、その儚い姉は、心臓に刀を刺していた。刀というよりはクナイだが。
痛々しかった。当然だ。穴が、ぽっかりと、開いているのだから。
息苦しくは―――ないのだろうか。
七花は、無意識に悲しげな顔をして、そして一度目を閉じると、また階段に足をかけた。
蒲公英は好きよ。
記憶の中で、姉は言った。口元に笑みも浮かべてはいなかったが、珍しく、楽しそうだった。
だって、こんなに可愛いのに、どこにでも生える様な図太さをもってて。
そう、あのとき彼女はなんと言ったのか。
そう、まるで―――――七花みたいだわ。
あの時は理解できなかったが、そう、彼女は、七花のことを、生まれて初めて、羨ましいと呟いたのだった。
「あなたはずっと弱い」
草のように。
脳裏で彼女は言う。
それでも、勝たなければならない。草でも蒲公英でも、何が何でも。
いまや七花は、過去の花ではなかった。体を赤くしてはもう、花とは呼べまい。
ただの刀だ。人を斬るしか、能が無い。
背後で、季節外れの蒲公英が、風を受けて揺らいだ。
(潤軋)
「はあん、分かったぜ。お前詰まる所何かに頼ってないと生きられない性質なんだろ」
「勝手に決め付けるな」
「でも神様とか信じてるわけじゃねぇんだろ?」
「話を聞け」
「そんな軋騎兄さんにあたしが手を貸してやろう」
「いらん」
「そう言うなよ。崇めるもんが欲しいんなら、あたしを崇め讃えろ」
「・・・」
「神様よりは絶対に確かだと思うぜ、兄ちゃん」
「勝手にやってろ・・・」
(兎吊木とぼく友)
「とりあえず、死線といーちゃんの変な所は、カップルの関係からして普通じゃないよな」
「失礼ですね。普通ですよ。っていうかカップルじゃないです」
「まぁ、黙って聞いてようぜ。という訳で俺が思うに、いっくんと死線はどっちも主従やってるよな」
「主従じゃないですよ・・・勝手に分析するの止めてくれませんか、兎吊木さん。普通ですって」
「普通のカップルは相手の足は嘗めない」
「・・・・・・・・・・・・・嘗めません」
「おっと返答に時間が掛かったな」
「でも僕様ちゃんはいーちゃんの足嘗めれるよ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・いいなぁ・・・」
「・・・くっ(おかしいのは重々承知だが、兎吊木には変だと言われたくなかった)(そして否定ができない)」
(兎吊木と凶獣と二重世界)
「おい、兎吊木、今度のクラックの仕事なんだが―――」
「・・・お前個人の仕事は聞かないぜ」
「何だよ・・・じゃあ何か報酬でもやろうか?お前に何かやるってのが気に入らんが」
「・・・・俺に命令したいなら、こなたのパンツでもとってこい!」
「・・・・・・こなた?」
「らきすたの主人公じゃない?この前CDランキングとか上位に入ってたの見たよ」
「二次元のパンツとか、ほんと救いようが無くなってきたな・・・」
(暇人チーム)
「暇だなー」
「そうだね」
「おっ、皆やること無さそうだね!どうだい、折り紙でもやらないか?」
「なんでそんなに大量に・・・お前そんなに折り紙好きだっけ?」
「いやー、テレビゲームって素直にやるより、改造したりバグ作る方に感心が向いちゃうからさー、素直に何か遊びたいな、と知り合いの生物学者に言ったら「折り紙って痴呆にいいらしいよ」って言われたから」
「お前、それ馬鹿にされてるって気づいてるか?」
「まぁいいじゃん。やろうよ。暇だし」
「はー・・・折り紙なんて何年ぶりだろ」
〜一時間後〜
「マチュピチュ」
「ベルサイユ宮殿」
「アンコールワットー」
「・・・何やってんだお前ら・・・」
「よぉ式岸。見て分かるだろ、折り紙だよ折り紙」
「・・・折り紙の限界突破大会?」
「っていうかもう一時間経ってら。いやー時間が経つの早いねぇ」
「無意識のうちに鋏とかカッターとかあるし・・・誰のだっけこれ」
「俺のだよ。あ、式岸お前もやるか?」
「いや、いい・・・俺はちゃんと用があるし」
「なんだよー俺達へのあてつけかよー」
「で、これどうすんの?」
「壊すか。ベルサイユは踏むの痛そうだな・・・とう」
「町を踏み潰す巨人っぽい」
「紙もあと少ししかねーや・・・ガンダムでも作ろうかな・・・関節動く奴」
「ほんとお前ら暇人だな・・・帰ったらどうだ?」
「お前と死線を二人っきりにするか!このデコ!」
「黙れ白髪が」
2007/8・01