■ブログ短文集
(14歳兎吊木と母親捏造)
吐かれる言葉は酷く愚かしい。
許しを請うても、どうせは聞き入れてはもらえないことなんて、明白だというのに。
ごめんなさい、どうか、もう、しないから。
縋りつく手は、いつでも己の目には醜く映る。
何度その声で人間を誑かしたのか。歳を喰っても変わらない顔に、どれだけ男が落とされたのか。
許して、許して、ねぇ、お願いよ。貴方がいないと、私は駄目になるのよ。
駄目になってしまえばいい。
白く細い手は、握ればポキン、と折れてしまいそうなほどに儚く、そして汚らわしい。
淫靡なその色も、己の目には溺死した血の気の無くなった死体のようにすら見えて、(まるで暗い深海の底から俺を引き止めているようだと)吐き気がこみ上げた。
俺がいないと駄目だって言うのなら、どうして父を捨てたんですか。
のんびりと聞くと、女は顔にはらはらとかかる髪の毛を治しもせずに、違うのよ、と嗚咽も洩らした。
違うのよ。違うのよ。違うのよ。
あの人が悪いの、あの人が悪いの。
女の毎度の台詞に飽き飽きして、俺は足にしがみ付く女の手を叩いてどかせた。
行かないで、行かないで。お願いよ。もう、しないから。
泣き崩れる女に、俺は少し肩を竦めて見せて、膝をついて、女に囁く。
さようなら、母さん。もう、会わないことを願うよ。
(兎軋)
「人識に手を出したら殺すぞ」
「うん。知ってる」
「舞織に手を出しても殺すし、レンに手を出しても、トキに手を出してもだ」
「うん」
「暴君の邪魔になるようなことをしたら、殺す」
「うん。それは俺も自殺する」
「・・・・・・・」
「もう無い?」
「・・・・・・・」
「そう。じゃあ、君を好きにしていいんだね」
(兎軋)
「・・・・・・式岸」
「何だ気持ち悪い」
「お前の部屋からこんなものが発見されたんだけど」
「(もう気持ち悪いって台詞にツッコミも無しか・・・)・・・・・・ああ、ボールギャグか」
「何で冷静なんだい。実はSM好きでしたって暴露して、これから事に運ぶつもりなのかな?ちなみに俺はできるだけSが良い」
「てめぇの好みなんざ聞いてねえし、変な妄想をするな。そしてそれは俺のじゃない」
「お、お前のじゃない!?じゃあ誰のなんだ!?専用のボールギャグがあるのか!?」
「何だ専用のボールギャグって。どんな人間だよ」
「その前に、なんでお前のものじゃないこれがお前の部屋にあるんだ!?そんなおまっ・・・・浮気!?」
「お前と付き合った覚えが無い。・・・・と、いうか、浮気っていうんなら、お前が浮気の対象になるぞ。他に付き合う人が居たら、まず最初にお前を捨てる」
「・・・・・・ま」
「・・・・・・・・・・」
「間男の称号を手に入れてしまった・・・」
「嬉しそうに言わないでくれ」
(潤軋)
「やっほーきっしー元気にしてた?」
「げっ」
「え?」
「あ、いや、な、何か用か?」
「いま、「げっ」て言った?」
「言ってな、げふっ」
「今のは嘘ついた分。今「げっ」て言ったろ」
「い、言いました・・・がはっ」
「今のは「げっ」て言った分。さぁ謝れ」
「(嘘でも嘘じゃなくても蹴るんかい・・・!)わ、悪い・・・」
「よし、いい奴だ!これであたしより背が低かったらなぁ、愛人にしてあげんのに」
「(こいつより背が高くて本当に良かった・・・!!)」
「今何考えた?」
「い、いや、何も?」
「嘘吐け」
「げふっ」
(潤軋)
「おー何にーちゃん大怪我じゃーん!へーあんた雑魚いんだな。うわはははは」
「(無視だ・・・気にしたら死ぬと思え・・・)」
「無視すんな」
「ぐえっ」
「じゃ、お代は貰ったから、あたしが特別に手当てしてやろう」
「えっ、お代、って・・・・また財布取りやがった!」
「遠慮すんなって!あたし血とめんの結構上手いんだ」
「ちょっ、まっ、ちぎれ・・・折れる折れる!」
「やわだなーにーちゃん。ビルから落ちても無傷ぐらい丈夫になれよ?お母さんそれじゃ一人立ちなんてさせませんからね、ってか。うわはははは」
「(手当てと逆に悪化しているような・・・!)」
(潤軋)
「あ?なんだよあたしが来てやったってのに寝てんのかよ。おい起きろにーちゃん。頭割っちまうぞー」
「・・・・・・・?」
「お、起きた?」
「・・・・・・・・・・・」
「んだよ、寝ぼけてんの?」
「・・・・・・・・・・・・潤・・・」
「ぅおらぁああ!」
「ぎゃあっ!」
「なっ、何だてめぇあたし心臓ばくばくいっちまった!お詫びに金よこせ!この馬鹿!」
「はぁぁああ!?起きて早々何言ってんだ馬鹿女!てめぇが心臓ばくばくしてても、こっちは口内出血多量だ逆に金よこせ!」
「・・・・・・・あたしにどんな口聞いてんだよにーちゃん」
「はっ・・・(正気に戻った)あ、わ、悪い」
「この天然たらしー!」(平手)
「いでぇ!」
「もう知るか!馬鹿!のたれ死ね!」
「・・・・・」(気絶)
「(あああああっ顔熱い!)」
(ぼくと霞丘道児)
「玖渚友になんて、会わなければよかったのにな」
「・・・・・・・」(呟き)
「玖渚友にさえ出会わなければ、お前はもう少し幸福でいられたかもしれないのにな」
「・・・・・・・」(静かな声)
「可哀想に。本当にお前は可哀想だよ。見ているだけで、涙が出そうだ」
「・・・・・・・」(同情するような、優しい声音)
「お前の一生は、もう駄目だ」
「・・・・・・・」(断言。哀れむような、大人が子供をあやすような)
「終着しか、残ってねぇんだな」
「悲しみしか、残りませんか」(問う)
「悲しみ以外に、何かあるか?後悔か?懺悔か?だってお前、許して欲しいんだろう?」
「ぼくは、あの子にあって、悲しみしか、残りませんか」(答えを)
「なんだ、お前あんな化物に欲情したのか?」
「幸福は無いんですか、霞丘さん」(答えろ)
「さぁな。お前が幸福だと思えるんなら、それで幸福なんじゃないのか」
「ぼくは、幸せですか?」(ぼくは)
「・・・・・・・・」
「貴方は、直さんに会って、幸せは無いんですか?」(あなたは)
「悲しみは、どうなっても幸福にはつながらねぇよ」
「・・・・・・・・」(それは貴方の真理か)
「死にてぇんだろう?死んで、詫びてえんだろう?許して欲しいんだろう?」
「・・・・・・・・」(彼女は、それで幸せになるんだろうか?)
「だったら祈れ。祈ればいい。泣いて、許しを乞うて、祈ればいいさ」
「・・・・・・・・」(彼女は、それでぼくをゆるしてくれるんだろうか?)
「この僕が、かつて玖渚直に対してそうしたように、神様か悪魔様にでも頼むがいいさ」
「・・・・・・・・」(彼女は、泣かないだろうか?)
「次に生まれてくるときは、どうか犬か猫にでもしてくださいってな」
「・・・・・・・・」(あの子は)
「豚でも馬でも猪でもいい。ムシケラだって構わない。とにかく玖渚友にだけは会わずに済みますように・・・・」
「・・・・・・・・」(・・・今でもあの蒼は美しいんだろうか・・・?)
2007/8・01