■BACCANO! log3
* ガンダムOOネタ (ラッドとグラハム

「はっ・・・ラッドの兄貴!」
「なんだ」
「何か・・・なんかわかんないんですけど、凄く唐突に・・・誰かを抱きしめたくて仕方がありません!なんてことだ・・・いつから俺は抱きつき魔になってしまったんだ?愛を求める孤独な思春期少年なのか?人肌が恋しいわけでもない、しかし俺の心の中の何かは何かを求めて叫んでいる・・・愛!?愛なのか俺!?というわけで兄貴!俺が見ず知らずの他人に抱きついて警察を呼ばれて連行されるのを防ぐためにも、ラッドの兄貴、抱きしめさせてください!」
「レンチでも抱きしめてろ」
「ああっいつにも増して冷たい反応!何ですかその冷たい目!くそっ視線は極寒なのになんかわかんないけど見つめられるだけで嬉しい・・・!マゾだと思っていたがそれ以上の変態になってしまうのか俺は!どうする俺!頑張れ!」

「兄貴・・・が寝てる姿って眠り姫みたいですよね」
「(だめだこいつ・・・早くなんとかしないと・・・)」




*グラッド

「いやああああああああああっ!」
耳を劈くかのような悲鳴が室内に木霊し、その密室内にて唯一の生き残りの少女は、がくがくと全身を震わせながら黒光りする銃を目の前の男へと構えた。
唯一の生き残り――――といっても、その室内に生存する人間は計3名なのだが―――元からここにいた人間達の中で生き残っているのは少女のみだったので、それは間違いではないだろう。少女以外の人間を皆殺しにした残りの2名のうち一人は、返り血で汚れた衣服をぱたぱたとはためかせながら、きょとんとした顔でもう一人の男を見た。
また、皆殺しにした、といっても基本的に虐殺を繰り返していたのは黒いスーツに身を包む、20代前後の青年のみだ。銀髪に飛び散った血液を袖で拭い、青いつなぎに身を包んだもう一人の、今度は少年と表して問題の無い男へ問いかける。
「どうするよグラハムちゃん」
「えー、どうするって言われましても・・・とりあえず壊しましょうか?壊してもいいですか?それとも解体します?解体させてくださいよ兄貴ー」
腕並みに巨大なレンチをぶんぶんと振りながら、言葉だけは可愛くグラハムが言った。その体には1滴も血液はついておらず、グラハムはけして一名たりともその命を奪ってはいない。足元に転がっている人間達は『人間』と定義するのが難しそうなほど関節がぐにゃぐにゃに曲がっており、むしろそれは関節が捻りすぎて数名の体の一部を合体し続けた肉の塊と見ても問題無さそうなほどだった。関節という関節が捻られているせいで所々内出血した血管でその肌色の部分も青や紫に変色し、ラッドが殺害した肉塊と化した死体たちよりも逆に恐ろしい状態へと化していた。それ以上に恐ろしいのはグラハムの足元に転がるその肉達はまだ息があるわけで、激痛と血管破裂により呻き声を洩らしながら動けないのにぴくぴくと痙攣を繰り返しているということだ。
その肉へと視線を移し、少女の銃を持つ手ががくがくと震え、とりあえず手前のラッドへと銃口を向けているというのに、その暗い穴はラッドからずれたり天井を向いたり床を向いたりしている。
「あっ・・・いやっ・・・・ひっ、ひ、い、いや・・・!!」
「ほら、こんなに怯えてるじゃねぇか。可哀想になぁ。っつーかなんで銃口向けられてるの俺なんだよ」
むすっとしたようにラッドが言えば、「兄貴が怖いんじゃないですかね?」と首を傾げつつグラハムが返す。少女にしてはラッドもグラハムも恐怖の対象なのだが、グラハムは自分が恐れられる意味が理解できていないとでも言うようにぽかんとするだけだ。
「そうか・・・でもあれだよな、まだ撃ってこねぇってことは俺達のことをまだ信用してるんじゃねぇのか?こんなにも人を殺しまくった俺をまだ撃たないでくれるなんて、あんたはなんていい奴なんだ!やべぇ、感動した。もしかしてこの感情は愛なんじゃねぇか?」
「なっ・・・そうだったんですか!悲しい話だ・・・悲しい話をしよう・・・俺の目の前で俺の兄貴に向かって求愛行動をおしげもなく披露する女に俺の兄貴はなんか心揺り動かされている!でもこれで兄貴が幸せになるんだったらもしかしてこれって嬉しい話なんじゃないか?すごい、これは凄いぞ。俺に対して悲しい話だというのに兄貴に対しては嬉しい話なんて・・・しかしやっぱり悲しい話だ。まだ俺と俺の兄貴の心は一心同体にはなれない!なんという俺の力不足・・・でも兄貴、これだけは言わせてください。とりあえずそこの女よりも俺は兄貴のことを深く理解していますし、そして兄貴のことを愛しています!」
「お前どさくさに紛れて俺の兄貴って言っただろ」
「いっ・・・てません」
「嘘をつく子は嫌いだぜグラハムちゃん」
「えっマジですか!じゃあ言いました!」
「よし、お前嫌い」
「うっうわあああああああ兄貴知能犯!!流石!」
目の前で漫才をするような二人組からけして銃口を外すことができず、奥歯をかちかちと鳴らしながら少女は悲鳴を喉奥で鳴らした。そんな少女の姿を見下ろしながら、おもむろにラッドは少女へと歩いていく。
「ありがとう!こんな俺に対してそんな惜しみない愛を向けてくれて!俺は今めっちゃくちゃ感動してる!幸福といっても過言じゃない!」
そしてそのまま少女を銃ごと抱きしめ、ラッドは少女の耳元へと囁く。
「だが死ね」
「あっ、ぎっ!」
そのまま手刀を少女の柔らかな腹部に殴りいれると、少女の体はやすやすとくの字に折れ曲がり、壁に激突してそして墜落した。
少女の手から零れた銃を拾い上げ、そしてラッドは下がったままだった撃鉄を引き上げると嘔吐物を吐き散らして嗚咽を洩らす少女の頭部に向かって無造作に二発打ち込む。
頭部に二つ穴を開けて破裂した頭部はトマトのように鮮やかに赤く、再びラッドの衣服を赤く濡らす。
ラッドは「ごめんなぁ」と謝罪しながらグラハムに手のみで帰るぞ、と合図を送り、そして部屋唯一の扉へと向かって楽しそうに歩いていく。足元で未だ痙攣を続ける人間達に一発ずつ弾痕を穿たせ、漸く生存者の居なくなった部屋でラッドはああ、と肩を回しながら呟く。
「シュリンプ・スキャンピが食いてぇな」
「兄貴作るんですか!?」
「何で俺が作んなきゃならねぇんだよ」
駆け寄ってきたグラハムの頭部にチョップを軽く叩き付け、ごつごつと足音を慣らしながらラッドが部屋を後にする。血の海へと変貌した室内を最後にグラハムは振り返り、その赤い室内をみて、ああ、シュリンプ・スキャンピの方がおいしそうだなぁなんてどうでもいいことを考えたりしていた。



*喉が渇いて仕方がないと貴方が喘ぐ声が聞こえる (ラドルアラド

白いシーツの上でラッドの銀髪が融けている。そっと口付けてみると、反射的にラッドの手が私の首へ添えられた。このまま折られてしまうかもしれないと思う。同時に湧き上がる恐怖と、死への渇望によっての恍惚が私の体へと奔った。思わず嬉しそうに口元を緩め、小さく吐息を吐くと、下から恨みがましそうなラッドの視線が飛んでくる。
「・・・殺したくなくなっちまったじゃねぇか」
不貞腐れたようなラッドの声はまるで玩具を取り上げられた子供のようで、愛しくて可愛くて私はラッドの頭を撫でた。透けるような銀糸は男性の髪質のせいか硬い。一般男性の髪を触らないから、ラッドの髪が柔らかいのか硬いのかなんて分からないけれど、例えるのならば犬のようだと思う。血を孕み続けた髪はその面影がないぐらい白く、私の手を含んでさらりと零れた。擽ったそうにラッドの肩がぴくりと動いたのに申し訳なくなって、ラッドの目の前に私は寝転がる。
ラッドの顔を逆さまに見ながら、私はむすっとした顔で私を見てくるラッドの頬を撫でた。
「・・・つまらなさそうね」
「べーつにぃー?俺はルーアといれるだけで楽しいがね」
そんなことを嘯きながら、ラッドの人を殺し続けた手が私の頬を撫でる。再び首に掛けられることは無く、私はラッドの体温を享受するかのようにゆっくりと瞼を閉じた。
「人が殺したいでしょう?」
「ああ」
素直に答えるラッドの声を聞きながら、私は小さく微笑む。可愛い人。
きっと人が殺せないから喉が渇いているんだわ。人が殺せないからお腹も減っているだろうし、寂しくて悲しいのね。
私を殺してその喉を潤して、その食欲を満たしてほしいと願うのだけれど、ラッドが本当に殺したがっているのは私のような人種じゃないのが悲しい。
最後にとっておいてくれるメインディッシュに、私を選んでくれて嬉しい。幸せに浸って小さく笑みを零すと、何笑ってんだよ、と不思議そうなラッドの声が囁かれる。
きっと私は貴方が認識している以上に貴方のことを愛しているんだわ。頬を撫でる手にそっと手を重ねれば、酷く私の手が暖かくなっていることに気がつく。
死ぬよりも近い幸福があることを、私は生まれて初めて知りえることとなった。



*グラッドルア

「今帰ったぜルーア!」
荒々しく扉を開けて室内へと入ってきた男は、椅子に座ってぼんやりと本を眺めていた女性へと歩み寄ると、微かにそっちへ顔を向けた頬に軽くキスを落とした。しかしその男の衣類はこれでもかというほどに真っ赤に染まっており、只でさえ黒いスーツも血液を含んでぐしょぐしょに濡れていた。
鼻腔を擽る明らかな死臭に、ルーアはうっとりと頬を染めながら微笑み、にこやかに己に笑顔を向けてくるラッドの頭をほっそりとした指先で撫でた。
「ん?なんだどうした、機嫌いいなルーア」
それはお前だ、とうっかり部屋の前までやってきてしまったラッドの友人が心の中で突っ込みを入れるが、ラッドのテンションが高いのはいつものことなので明らかに何か言い挟む必要もなさそうなので沈黙を保たせる。ルーアはそんな質問に少し笑って、本当に小さな、吐息のようなか弱い声でそっとラッドへと囁いた。
「ラッドが帰ってきてくれたから・・・」
「・・・っ!!!っあーまったくもーよぉー!なーんでお前はそんなに可愛いのかなー!」
ラッドは堪えきれない嬉しさの故か、拳を白いテーブルへたたき落とし、不思議そうに微笑むルーアを抱きしめた。じわりとラッドの衣類に付着した血が、ルーアの衣服を濡らしたが、二人ともそんなことお構い無しにぎゅう、と相手の背を愛しげに抱き寄せ合った。


「・・・・・いいなぁ」
「変態だ・・・」
2008/2・24


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