飲むなら飲んでも飲まれるな



暴君から頂いた仕事を終わらせて自分のマンションに帰るとそこは地獄絵図だった。

「たいしょー、おっかえりー」

妙にテンションの高い人識が抱きついてくる。いや、テンションが高いのは別にいい。別にいいが…

「何してるっちゃ!その格好!ついでにめちゃくちゃ酒臭いっちゃよ!!」

そう、人識はどこから持ってきたのか制服を着ている。しかも女物(いやいやどうみてもこれは舞織の制服だ。ソファを見ると人識の服を着た舞織が寝ている)
二人で酒盛りでもしていたんだろう。空のチューハイの缶が転がっている。

まだ夕方だぞ。飲んでんじゃねぇよ未成年。

これから俺がこの部屋を片づけるのか…っていうかなんでこの二人は服着替えてんだ?つかどう考えてもこの量は飲み過ぎだろう。

腰に人識をくっつけながらそんなことをつらつら考えて溜息をついているとぐらりと視界が揺れる。ついでに背中に衝撃。

「かはは、大将隙だらけだぜー?」

自分の上には酔っぱらった人識が覆い被さるように乗っている。マウントポジション。手首は捕まっている。

なんで俺は酔っぱらったガキ、しかも何故か女装をしている弟に押し倒されてる?訳分からん。むしろこいつの頭の中が訳分からん。理解不能だ。

「…酒臭いっちゃよ、未成年。重いから今すぐどくっちゃ」
「たいしょー、ちゅー」
「話を聞けえぇぇっ!!」

んー、とか言って顔を近づけてくる人識に怒鳴りつける。顔が近づいて更に酒の匂いがする。
そして軽く唇が重なった後、急にぐらりと人識が傾いた。同時に腕を押さえていた力も消える。

未だに自分の上にのっかっている人識を見ると…

眠っていた。
いや、これ以上ないくらいに爆睡していた。

なんとなくムカついたんで容赦なく自分の上から人識を払いのけて体を起こす。
その際ゴチンといい音がしたので人識は頭でも打ったんだろう。まあ起きる気配もないのでほっておくが。

体を起こして部屋に転がっている空き缶の山を見て軋識は頭を掻いて溜息を吐いた。

これの後始末は俺がすんのかよ。

げんなりと軋識はうなだれる。

……とりあえず腹いせに人識の額に『肉』とでも書いて写メを撮っとこう。

軋識は部屋に油性ペンを探しに行った。







朝、目が覚めるとリビングの床に何故か寝転がっていた。更に不思議なことにちゃんと毛布は掛かっている。
昨日の記憶が全く、全然、思い出せない。
体を起こし布団をめくり上げてふと自分の体を眺め……眺め……

「って、なんじゃこりゃーっ!?」

そう、今の自分の格好はスカート。ひらひらびらびら。
待て、落ち着け自分。なんだ?何があった?

「うるさいですよう人識くん。私今頭がガンガンしてるんですから大声出さないでください」

ソファでむくりと舞織が体を起こした。そっちにも毛布は掛かっていた。

ああ、そうだ。なんとなく思い出した。
大将が帰ってくるまで暇だったから舞織と飲んでたんだった。でも何で俺はスカート?

頭を捻っていると舞織が頭を押さえて顔を逸らしている。

「…んだよ」
「ひ、人識、くん。か、顔…っ」

舞織は笑いがこみ上げてきているのと頭痛がするので上手く話せてない。

その後、不思議に思った人識が鏡を見て二度目の絶叫を上げるのと人識の携帯に画像付きのメールの着信があるのはほぼ同時だった。

*****
ギャグってなんだっけ…と考えること○日間。結局私の実力ではこれが限界らしいです。ギャグ?ギャグなのか、これ?

人識くんと舞織ちゃんの衣装チェンジはアルコールの魔力です。つまり深い意味はありません(ぇ)

こんな駄作を送りつけるのもおこがましいのですが藤下さまに捧げます!
藤下さまのみお持ち帰りオーケイです。
それでは相互ありがとうございましたー。

夜来 律 拝


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本気で鼻血吹くかと。
読んでいる間口のにやにやが止まりませんでしたあっは!
ほんと藤下のツボにクリーンヒットです。我侭っていうか押せ押せ人識が愛しすぎる。
でも肝心な所で寝るってのが人識っぽいですねー。面倒を見てしまう軋識さんに悶えてます。
仕返しがでこに肉ってのが良いですねー可愛いな軋識さん。
延々と語ってしまいそうなので強制終了。素敵な人軋本当にありがとうございました!!

                                       *Touge